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寸景

 尾てい骨にヒビが入ったと思われる痛みも日々ゆっくりと治っていっているのが分かるのは、その痛みが和らぎ痛くなる動作の種類が少なくなってきたからだ、と思う。
 また痛風も、あれ来たかな?という予兆も限りなくなくなった。何にしろ病名が分かり、その病気が治ってゆく過程などをその都度認識できるのはとても気分が良い。分からないのが一番不安で辛い。

 スペインのデコボコ階段を上る時にはもうそれほどケツは痛くなくなったのだが、部屋内でスーツケースを持ちながら歩いたりすると微妙にケツが痛い。
 明日はグラナダへ行くので徒歩数分のバス駅まで行くのだが、スーツケースがあるので、うーむ。ホテルでタクシーを呼んでもらって坂下の広場まで来てもらおうかと思っているところ。

 ホアキンの墓参りの後、ルルデの家に寄っていろいろホアキンの状況を聞いた。
 突然頭痛がして病院で頭痛薬などをもらい安静にしていてもより大きな頭痛が続き、大きな病院にて精密検査をして初めて肺ガンと分かるが、そこからあれよあれよと言う間の1週間ぐらいで旅立ってしまったそうだ。
 検査したらいきなりリーチというのは考えにくく、年に一回の健康診断とかってないの?と聞いたら、そんなのないよ、とそっけなく言われた。
 47才のエヴァの場合は、若すぎるのでとても細かく聞くことはできなかったが、健康診断とかはしていなかったのかなぁ。もし彼らが日本にいれば、と思うも、そんな検査を意に介さず、違和感を覚えて病院へ行けば同じくいきなりリーチだった大学の後輩テルがいたことを思い出した。
 健康診断が全てをカバーする訳ではないが、こういうのはタイミングもあるのかなぁ、としみじみしながら考えあぐねてしまった。

 ちょうど今、国民健康保険の健康診断シーズンに入ったので出発前に市役所から通知が来ていたのを思い出した。帰国後にまた台湾へ行くので、予約は来月頭辺りだろう。


 タパ(Tapa)というのがあって、日本のお通しぐらいの量のイカリングやハムトースト、ポテトなど日本人でも想像できるような酒のつまみである。
 一杯の酒を頼むと一つのタパが付いてきて、二杯目を頼むとまた違ったタパが付いてくるので、こだわらなければ敢えてお品書きにあるつまみを頼まなくても良い、という素晴らしいスペインの酒文化である。因に上野広小路にある奥様公認酒場「岩手屋」もこのスタイルである。

 しかし、同じ県内でも街ごとにこのタパが自動的に付く町と言わないと付いてこない町がある。アンダルシア地方で言えば、グラナダ県とアルメリア県は付くけど、マラガ県は付かない。セビージャは未確認。日本の関東地方で言えば、栃木県と千葉県は付くけど、埼玉県と神奈川県は付いてこないとか。
 その分、価格は違い、分かりやすく言うとタパ付きは1杯150円で、タパが付かないと1杯100円とかになる。

 で、なんで違うの?という疑問が当然発生し、以前から気が付くと聞いていたりするのだが、いずれも「習慣(costumbre)の違い」という返答まででその先が不明である。
 どういう習慣の違いからなのか、どうしてそういう違いができたのか、などを知りたいのだがなかなかそこのたどり着けない。離れている地方なら分かるが同じ地方内なのに何故?関西地方の大阪と京都、神戸とかの違いと似ているのか。
 変に考え過ぎると思考はラビリンスとなるが、真面目にこれらを検証してゆけば推論だとしても、例えば佛教大学の歴史文化学科文化人類学コースあたりで論文がかけるかもしれない。


生ハムサンド(ボカディージョ)
生ハムサンド(ボカディージョ)
 飲み屋で友達と飲んでいた時、一人がスマートフォンを見ながら「ははは〜、ケン、これ面白いね」と言った。
 最近Facebookに翻訳機能が付いたのに気付き、それまで拙サイトにアップしたurlを記していたのを止めてそのままFacebookにアップするようになった。が、なかなか翻訳がファンキーなところがあって、「他のスペイン人のコメントをその翻訳機で日本語に訳すと、これは日本語なのか?というのが多いんだけど、逆はどお?ま、概略はつかめるから良いんだけど」と聞くと、「同じ同じ〜、とっても変だけど、意味は分かるから良いね」。
 とっても便利な世の中になったもんだ。


Myスーツケース
Myスーツケース
 来る時にきづいたのだけどスーツケースのキャスターのゴムが取れてしまった。30年ぐらい前に買い、この大きさだから常に20kgを越え、スペインのゴロゴロ路をゴロゴロところがしていたので故障というよりも寿命だろう。
 買っても2万円ぐらいなんだけど、キャスターだけの為に買い替えるのはとても勿体ない気がしてしょうがない。ちょっと前の小さなスーツケースもそうだったけど、キャスターがまず最初にダメになる場合が多く、だからアマゾンでキャスターだけが売っている訳だ。なるほど。
 そうするとしても自宅に戻るまでなんとか丁寧にころがして、もげないようにしなければならない。

 グァディックスの最後の夜、ルルデとその息子が10kmぐらい離れたプルジェーナという小さな村のピザレストラン・・ではなく、主にピザを出しているバルに連れていってくれた。
 「土産に生ハムとか買うの?」と聞かれたので、「そのままのは持ち帰り禁止だけど真空パックならOKなので、グラナダで買おうと思っているんだ」と言うと「じゃ、美味い生ハムがあるからその真空パックを買ってあげるよ」。
 飯もご馳走になったし飲み屋でも払ってくれたし洗濯もしてくれたし、これ以上は世話になれない日本人として恥になる。が、こういう時のスペイン人って引かないんだなぁ。あまり断り続けると、今度は怒ってしまって、逆に私はなにか悪い事をしたのかな、と錯覚してしまう。
 根負けしてしまい、「少しで良いからね、スライス20枚ぐらいで十分だよ、多いとワインと一緒に食べてしまって痛風に悪いからね」と言っていただいたのは、およよ、足一本の半分だ、おまけに重量もあり持ってきた機材の重さと等しくなってしまった。今スーツケースは22kgはありそうだ。

 呑兵衛にとっては、スペインと言えば、パエジャでもなければトルティージャでもなく、ハモンセラーノ(生ハム)だ。で、私の好物としては、カニとかトロとかではなく、ハモンセラーノだ。
 大感謝である。ルルデの好意をむげにしないよう、このハモンセラーノを食べながらワインを飲んで痛風精進することを誓う、まさに「グラナダに死す」だ・・いや、痛風だけは避けたい。