HOME > Acci Times >




 

23.5kg

 とても重たいスーツケースを成田のチェックインカウンターに乗せたらなんと23.5kgと表示され、重たかったのは年齢からではないことが分かりちょっと安心した。

 そして一番懸念していた同日の2つの便に名前が予約してある状況について聞いてみた。JALのおねーさんが対応してくれて「今、カタールに問い合わせてみますので少しお待ちください」。私のカタール航空のは、バルセロナまでJALとVuelingがコードシェアしているらしく、数分後に「○×△(名称失念)だったので綺麗にしましたので、大丈夫です」とあり、ドタキャンならず土壇場OKだ。
バルセロナ空港内喫煙所
バルセロナ空港内喫煙所
 スペインのVuelingに電話した時にこの「綺麗に」が聞きたかったのだが、ひたすら「イベリア航空に電話してちょうだい」の一点張りは、このカタールやJALのとを比べてみるとトンでもなく素晴らし過ぎるふざけた応対サービスだ。

 そのままで出発するとどうなるのかを聞いてみたら、バルセロナからの荷物が何処へ行くか分からなくなる可能性があるのでバルセロナで確認しなければならないだけで、一便目がキャンセル(乗れない)となっても二便目の名前は消されないそうだ。なるほど〜、勉強になった。
 なので荷物もちゃんとグラナダまで運んでくれるとのことで、全く期待していなかったバルセロナ〜グラナダ間の搭乗チケットまでをも成田で発券してくれた。すげーぞ、カタール航空。全ての懸念は出発カウンターにて全て解決した。
 それでもスペインなので心の底から信用することはできず、念のためにバルセロナ空港で聞いてみると、果たしてピックアップする必要はなくちゃんとグラナダまで運んでくれるという。帰りはグラナダから日本まで運んでくれるとかどうか分からないので、グラナダで確認しないとやはり心配だ。

 いずれも5時間ぐらいの待ち時間があるドーハーとバルセロナの両空港内は広くていろいろなお店があったけど日本のショッピングモールと同じなので、私にとってはそれらよりも喫煙エリアは何処?が重要だった。
バルセロナ空港のカタール航空
バルセロナ空港のカタール航空
 どちらもちゃんとあり、バルセロナの方は搭乗エリア内の中庭にあって、みんなスパスパ吸っていたりして一番混んでいるエリアだったかもしれない。スペインは、台湾同様、とにもかくも室内だけが禁煙なので、屋根のないオープンカフェテリアも含め屋外は全くOKなのが嬉しい。

 誰かと一緒であればそれはそれで楽しく時間が潰せるかもしれないが、一人だとやることないのでベンチに座って谷崎潤一郎の「細雪」を読んでいた。『刺青・秘密』などの短編とは違っての長編なので文体はむしろシンプルで読みやすいのだが、ところどころ女性への鋭い視点での描写があって谷崎センセイならではだ。

 カタール航空はヨーロッパへの南回りなので都合18時間のフライトである。よって3つの映画を楽に見ることができた。
 シリーズ何作目かは分からない『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』を見たが、どこが面白いのか?が、観後の素直な印象だった。
 往年のマーク・ハミルやキャリー・フィッシャーが出演していたので懐かしさをもって見られたけれど、演出や展開などに微妙な違和感と矛盾が散見し、塩気の全くないメガ盛り素うどんを食べさせられた観があった。ファンからはお叱りを受けるかもしれないが、「スター・ウォーズ」を冠していなければ単なるB級映画かも。最初の3部作がデカ過ぎると、続編はなかなかそれを越えられないトラップに陥っているのかもしれない。

 次に見たのは、『ダウンサイズ』。
 落とし所が新興宗教の集団奇行風になるシリアスさがそれまでの展開を一変させてしまうが、逆にこれが本音なのか、と思わせる・・なのかなぁ?人間を13cmに縮小する試験的冒険デメリットの代わりとなる多大なる恩恵を受けるはずなのだが、その世界にもちゃんとした極端な貧富の差が存在している矛盾もあって、どことなく細かいところはチェックしないで見てね、みたいな感じの映画。

 だんだん消化不良になりながらの3つ目は日本映画の『探偵はBARにいる』。
 『孤独のグルメ』のゴローさんや『深夜食堂』での常連ストリッパー、北川景子、そしてAKB48の前田敦子が出ていたが、他は知らない。しかしテレビドラマではなく映画として見ると、みんなあまりセリフとかの演技があまり上手くない感じがした。ゴローさんや常連ストリッパーは違和感ないのだけど、主人公の二人は表情が豊かではなくセリフも単に棒読み風で、バックグランドは分からないけど劇団経験のない印象を受けた。しかし劇団経験が浅いと思われる前田敦子のはすっぱな女の子役の演技がなかなか上手く、地道に勉強しているのだろうな、とちょっと見直してしまった。このような判断基準は、伊丹十三監督の映画が基準になっているのだけれど、私だけがおかしいのか、と見ていて不安にもなった。

 復路の機内映画も同様なので、他に見たいと思う映画が少ない。もちろん日本語付き。エイリアンとかのホラーは見たくないし・・。後は見たことのある『ダイハート』とか『スピード』をもう一度とか。

 グラナダ着最終便は30分も遅れ、着いたのは22時30分。当然かもしれないが、20年振りのグラナダ空港はリニューアルされて綺麗になっていた。
夜のグラナダ空港
夜のグラナダ空港
 アンダルシア人伝統の中年太りしたマニエルが白髪の増えた初老風の私を出迎えてくれた。
 彼の家に着き早速スースケースを広げ店を開くように持ってきた機材全てをテーブルの上に置いて説明風に深夜2時ぐらいまで写真談義をしてそのままZzzz.....。
 13年振りに会ったのに、あれ以降どうしていた?こうしていた、とかが殆どないのは、やはりメールとかSNSとかのやり取りがあるからで、そんな物理的な時間の隔たりはインターネットによって殆どなくなってしまった観がある。

 最初のグラナダ滞在はマヌエルの家で、家族とともにスイスに住んでいて夏と冬の年2回ぐらい戻ってくるぐらいの別荘みたいな家で、今回私の渡西に合わせて休暇を取り、スイスからの1000kmを車で2日かけてやってきてくれた。
 そんな通常無人の家に無線LANなんぞがある訳ないと諦めていたら、仲の良いマヌエルの隣人から「正式に」に借りられた。
 iPhoneを持っている割りには殆ど使わないので使用料は一番安い月1.2GBまでという設定のところに今回の海外利用980円/24時間なので、湯水のようにSNSなんぞは見られず、他に会う友人達との待ち合わせ時間とか場所のやり取りの為のFacebookのMessengerしか使えないと思っていたが、Lineの電話が使え家族と話さえもできとてもラッキーだ。
 明後日マヌエルの家を出る以降は無線LAN付きのホテル泊になるので、海外利用980円もそれほど出番がなくなると思う。

 サマータイムがすでに始まっていたのをすっかり忘れていた。今21時だけど外を見るとやっと太陽が山に沈んだところで、その明るさは日本の19時ぐらいだ。空が漆黒に変わるまであと1時間ぐらいはかかるだろう。
 で、その暗さ加減で言えば、「10時半にグラナダ空港に迎えに来てね」は日本での「8時半に・・」と同じかもね。