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ヴィジャヌエバ・デ・ラス・トーレス (Villanueva de las Torres)

 2002年、家族でグラナダに行った時に会ったのが最後だと思っていたら、後にアルメリアで会ったのを思い出し・・あ、それも2002年だった。いずれにしろ16年振りに再会したのがホアンヘだ。私より10歳下なのだけれどもこのくらいの年齢になればみな同じく「おじさん」になり、顔立ちは変わらないが、そして彼だけに限らずみな腹が出まくった膨れ気味の体形となりステレオタイプのスペイン人を継承する。

 私が泊まっていた安宿の隣のマンションに彼ら家族が住んでいて、道を挟んだ窓から知り合い、全くスペイン語を喋れない私を家に招待して食事をご馳走してくれたり一緒にあちらこちらへ連れていってもらったりしたのが32年余り前のこと。彼をして私を古き良き友達(viejo amigo)と称したのは、お互い年を重ねてしまった故、親友/悪友(amigote)からの昇格であろう。
 この1986年に知り合った2人のviejo amigoが偶然同時期に亡くなり、その墓参りが今回の渡西のからミッションであった。

ビジャヌエバの中央広場 中央広場での市 裏通り
ビジャヌエバの中央広場 中央広場での市 裏通り

 彼の妹の墓は、彼らの両親の実家があるグェディックスから50kmぐらい山に入った村にある。
 地図で見ると、Villanueva de ○×△■ という名称の村が沢山あり、この場合のVillanueva(ビジャヌエバ)の意味が良く分からなかったのだが、日本語で言うところの「新町」にあたり、「桜新町」とか「新百合ヶ丘」と同様であることが分かり、なるほど〜。
ビジャヌエバ生まれのホアンヘ
ビジャヌエバ生まれのホアンヘ
 私と同じヘビースモーカーで酒飲みである彼は、私が持ってきたダイソーの携帯灰皿に痛く感動し「初めて見たよそんなの、すごい便利じゃない。1個くれない?」。その携帯灰皿を持ってスパスパと煙草を吸いながら器用に車を運転し、私をその村、Villanueva de las Torres へ連れていってくれた。実家では彼のお父さんが待っていてくれた。

 実は27年ぐらい前の新婚旅行で来た時にホアンヘが連れていってくれた村で、村の広場では市場をやっていてなんと馬を売っていたびっくりした。そして村人からは「初めて日本人を見たよ」と言われ、カミさんと二人で動物園のパンダ気分を味わった記憶がある。たいていステレオタイプ的な質問をされ「おまえは忍者か?ちょっと空手か柔道やってみてくれ」とか「あんたは芸者か、ちょっと踊れる?」などなど。
 因に、同じくパンダ気分を味わった日本人不在地帯であった15年くらい前のアルメリアも、「今も日本人いないよ〜」とホアンヘが言っていた。

お墓への標識 エヴァに再会 ホアンヘとお父さんと
お墓への標識 エヴァに再会 ホアンヘとお父さんと

 Villanueva de las Torresは小さな村なので、中央広場からちょっと路地を入ったところに墓地があった。映画とかで良く見かけるような白いお墓が所狭しと沢山並んでいた。
 どうでも良いことだけど、名前は知っているが場所が分からない場合などの事務所は、その墓地の規模によってあったりなかったりだそうだ。

ホアンヘ家族と
ホアンヘ家族と
 カトリックは他宗教への寛容もあるのか、1本の線香を手向け持ってきた浄土宗の数珠で拝むことも特に気にしていなかった。
 スペインはすべて土葬ならず石棺葬かと思っていたら、今は本人や家族の希望にて火葬もあるとのことに驚いた。てっきりカトリックの宗教上に拠るところと思っていたけど、その時の現状に即した寛容もあるようだ。
 妹のエヴァとは実際に会って話をしたのは新婚旅行で訪れた27年前が最後だったけど、その後Facebookで再会し、それなりのやり取りが続いていた中で、彼女は拙写真展『MY COMPANY』で使用したマット付きの半切プリントをfacebookにて「まだちゃんとあるよ〜」と見せてくれた。
昼食の始まり
昼食の始まり
 二人の子供がいて高校の美術の先生をしていたマラガの家にまでそんな写真を持ってゆきとっておいてくれたのには、ちょっと目頭熱くなる。

 「ケンが来るというのでママがご飯を作って待っているから一緒にグラナダへ行こう。帰りはグァディックスまで送るからさ」とホアンヘが言う。
 かみさん曰く、ホアンヘのお母さんが作る料理が一番美味しい、との折り紙付きなので、「えっ、また、グラナダぁ?今朝グラナダから来たんだけど・・」とはとても言えず、彼の車に乗ってビヨ〜ンと1時間半。
 家は以前にも来たことのあるマンションで、お母さんは相変わらず理知的で綺麗でかつ若い。幾つだか分からないけど。
アントニオと
アントニオと
 部屋にはエヴァの作品、廊下にはなんと、その『MY COMPANY』での他の当人たちが写っているプリント数点が掲げてあった。写真展ごとに段ボールに入れてしまっている私が少し恥ずかしかった。

 みんなで記念に写真を撮ろうよ、という場合は、もう三脚にすえたりどっかに置いてセルフタイマーとかがとても面倒になり、デジタルのおかげで最近は、「先に私が撮るから誰か同じ場所からもう一度撮ってちょうだい」と言った2枚を合成している。

 グァディックスに送ってくれたついでに、ホアンヘは高校時代の仲間の家に立ち寄った。私も昔一緒に遊んだことがありで実に32年振りの再会だ。たいていのスペインの男性と同様に全体的にむくんだアントニオがいた。顔立ちは変わらずすぐ分かったけど。