Nikomat FT2

Nikomat FT2 70年代半ば当時、キャノンにしろペンタックスにしろヨドバシカメラでは、25%引きぐらいで売っていた。
 買えば、ケース、ストラップ、ボディキャップなど、たくさんのオマケのように付いてきたのだが、我らのニコンはというと、15%しか引かないし、このNikomat FT2を買って付いてきたのは、シンクロターミナルの小さなキャップだけで、ボディキャップは便宜的なモノだったような記憶がある。
 ケースは要らないとしてもストラップは別にちゃんと買わねばならぬほどの強気のニコン商売だったけど、それだけステータスがあったのだ。
 後年、EM (リトルニコン) 及びそのEシリーズレンズのリリース辺りからステータスに影が出はじめた。

 同封のハガキを送り、後日送られてきた「ニコンの世界」を何回も何回も見た。当時はそれほど一般的な写真の技術書や写真集みたいなのが少なかった中、お洒落なデザインといろいろな写真家の撮った写真が掲載されているこの「ニコンの世界」は写真の教科書だった。

Nikomat FT2 ELシリーズもそうだが、構造上スプールの高さに制限があり、使っているとコマズレが生じてくるのは、この時代のカメラとしてはしょうがないことなのかもしれない。このトラブルは年数ではなく、通したフィルムの数だ。
 買ってから5年が過ぎてきた辺りから毎年修理を余儀なくされ、7年目の1985年にNikon FMと交代し、隠居生活と相成った。
 機種そのものよりも、使い続けたそのカメラに愛着というのが出てくるものなのですね。FT2を使い続けて、初めてそれを知った。