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Time To Time 1993-1995 : 36-12
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砂丘(デューン)


どうしても海が見たいと思った
半島や堤防に囲まれた
甘やかされた海でなくて
大海からの風に荒波を立てる
北の海を見たいと思った
道路沿いにコンクリートの壁があり
その上に砂丘があって
その向こうに海が広がっている
道路から階段を上り歩道に出たが
鉄柵で砂丘に出られず
いつまで歩いても出られず
遠くに見えていた「砂の上」というホテルの
緑の広告塔が真近に迫ってきても
ホテルへ行く道すらみつからない
砂は古代からあるもののように
ただそこに存在し
海はチラチラと淡い光を反射して銅板色に輝き
スローモーションで波が来る
ホテルはコンクリートの残骸でしかないと悟り
その時にもう帰る場所も無いのだと悟り
砂丘へ来た意味を知って
来るべきものを探せば
灰色の影のような羊が歩道に姿を現して
無言の眼差しで
自分が使者であることを告げた

Time To Time 1993-1995

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