人待ちババ
町の道端で
いつも人を待っている女性は
背の低い小肥りの初老の中国人で
晴れた日にはサンダルを履き
雨の日にはビニールの合羽を着ている
中国人の知人に聞いたら
それは南方の言葉を話す
この町では有名な
「人待ちババ」だと答えた
人待ちババは
空間に人の顔をみつけて
一言二言話しかけ
なつかしそうにお辞儀をする
それが五分に一度
規則正しく繰り返されて
しばらくすると場所が変わる
「お待たせしましたと、
前に立ったら喜ぶだろうか
違うと、言うだろうか」の問いに
知人はきっぱりと
「人の生きる希望を奪うことになる」
と、言った