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今まで撮りためていた4000本ぐらいのフィルムをデジタル化することにしたのは、35年前以降のフィルムに、ビネガーシンドロームが幾つか発生してきたからだ。
ここでは、135のモノクロフィルムを6コマごとにカットした6コマスリーブ等を「フィルム」、そしてフィルムキャリアに貼り付けてある透明アクリル板(GT-X980)を「ガラス版」と便宜的に称す。
スキャンサイズを 2600dpi(長辺310mm) にしたのは、あくまでも微小な可能性を考慮し、写真展用のプリントと写真集用の印刷原稿として四つ切までとしたからだ。
方法として、モノクロをカラーモードでスキャンした。
そのままだと色調が偏るので、バッジにて、Photoshop → 「イメージ」 → 「色調補正」 → 「白黒...」に変換し、「画像解像度」にて、「再サンプル」のチェックをハズして、 → 300ppi に変換して、意味はなく好みとして、tif → psd(Adobe RGB) で保存した。
因に、「再サンプル」にチェックを入れての変換は、PhotoshopのAIが自動でベストな画像解像度に変換してしまうので、スキャンしたオリジナルとする画像でのドットがズレてしまうこともあるので、私はOFFにして変換した。
GT-X970は、1度に4本のスリーブをスキャンでき、2600dpiだと20分ぐらいかかる。つまり20分間、4本のフィルムは光センサーによってスキャンされていることになる。
大量のフィルム処理なので、サブとして中古のGT-X970を用意し、そのフィルムキャリアも使いながら連続でスキャンをしていたら、そのセンサーの熱で最後の4本目のフィルムがピンボケになるぐらい反りまくる状態になってしまった。
カマボコ状になった6コマスリーブをフラットに戻すのは大変なので、4本目の数本分は諦めることにした。
ピンボケのカマボコ状態になるのはだいたい70分を過ぎた辺りだったので、60分ごとにGT-X970本体を交代することにした。スキャンで言えば3回ごと、フィルムで言えば2本分だ。
難を逃れ、毎日スキャンすること1週間ぐらいが過ぎた辺りで、だんだんとこの1時間ごとのスキャナー交代で、何やってんだろうか、私?と思うようになり、宗旨替えを余儀なくされた。
一度にスリーブが3本になってしまうが、ピントはいつでもどこでもOKとなるようなので、現行機種のGT-X980に買い替えた。
因に、GT-X970は、製造中止から数年経ち、その保守期限も過ぎているので壊れた時点でGOOD-BYEになる。しかし、のんびりとフィルムをスキャンするのなら問題ない、とも言えるので、それほどの数をこなさないのであるのなら、ヤフオク等で15,000円~20,000円辺りで出ているのを狙うのもありかと思う。
GT-X980は、アマゾンで58,000円と悩ましい価格だ。
GT-X980のスキャン解像度は、GT-X970とあまり変わらず、外観も殆ど流用。唯一の大きな違いは、フィルムキャリアにガラス版(透明アクリル板)が付いたので、GT-X970に比べてピント精度が上がったことだ。
フィルムキャリアには、ピントの位置調整として、5段階のスライダーによって高さを可変することが可能だ。
それぞれ確認してみるが、殆ど同じように見えるのはスキャン解像度に因るものなのか。2400ppiだったが。無理やりなんとか比較したところでは、2~4ステップが同じだったので、中間の3をデフォルトにした。
ただ、このガラス版の設置にはやや疑問がある。
通常135のフィルムは、平面ではなくカマボコ型のように乳剤面を下側として多少なりとも反っている。その状態でガラス版に乗せても圧着度はかせげるのか、という疑問。
それならガラス版は下ではなく上から被せるようにする方が効果がある。
その場合はガラス版にニュートリング防止を施さなければならず、その処理のコストとかがあったのだろうか、135フィルムにとっては、やや効果が薄めな「ガラス版付き」になった感がしないでもない。ただ、120以上のフィルムは平面なので、素通しなのに比べて効果は絶大だ。
その平面性を確保したがために、一つの苦行が光臨する。やたら埃や塵がガラス版に付着することだ。
一つには、スキャン作業を始める最初の準備で、いろいろなモノや体が動くことによって微風を起こしてしまい、スキャンする周辺の埃や塵が舞ってしまうところにあると思う。
不思議なことに、その埃や塵が再び戻るように落ちてしまえば、再び作業をしてもそれほど舞い上がらないのが不思議である。準備をしたら30分ぐらい待ってから始めるのが経験則からベスト。
それでも多少なりとも舞っている埃は付着するので、それなりの小道具は必要で、ガラス版を清掃するキズのつきづらい眼鏡用のクロス、または、カスの出にくい「キムワイプ」やティッシュ、そしてゴム製のハンディブロワー。
そして、アクリル板なので静電気除去ブラシが必携。←これは、プラモデルの田宮から出ているのがお勧め(800円ぐらい)。
とは言っても、埃ゼロというのは不可能なので、ここは諦めて残りはPhotoshopで仕上げるのが得策だ。
そのより良いサンプルとして提示すると、45年以上前に撮ったネガで現像液の量を少な目にしてしまったところから。
空が雲のない一様気味なので、Photoshopの「なげなわツール」→ 「コンテンツに応じた塗りつぶし...」で9割修正して、最後は「覆い焼き/焼き込みツール」や「スポット修正ブラシツール」などで仕上げれば、なんとか満足のゆくようなものになると思う。
結果的にこういうネガスキャンを保存のために行うと、自然とPhotoshop操作に慣れてくると。
GT-X980では初めての120&4×5のスキャン作業で気付いたのは、ガラス付き120用のキャリアは、とても装着しづらいことだ。
装着と言っても、単純にネガをそこにはめ込まないことで、写真の赤丸で囲ったガラス版を抑えるプレートが斜めになっている為に、水平にネガを置くことがなかなかできない。個人差もあると思うけど、スキャン後はネガは破棄するので、上限の透明部分を上下1mmずつカットして装着した。
あまりにもやりづらいので、エプソンのサポセンに電話をしたら、確かに120用のはやりづらいとのことで、親しみやすく解釈すれば、「がんばってコツを掴んでの対処をお願いいたします」みたいな返答だった。
この辺は割り切ってクリアーしてゆくものと思われる。
他、スキャン自体を続けてゆくと、画面に電光色みたいな細い線が入る時がある。
これは、数多く頻繁に裏ぶたを開閉していることによって、上蓋と本体を繋ぐコネクターが微妙にズレてしまうところから。
根元を押してみてズレていたのならラッキーだけど、ズレていなくても線が入ってしまうこともあるので、一度抜いて改めて差し込んでみるのが一番だ。
円形状だけど、向きや回転角度があるので、見ないで適当に差し込んでピンを折ったりしない注意が必要。
開閉してズレるようなものなら、モニターケーブルのDVIやVGAのようにネジ固定とかにして欲しい~。フィルムのスキャンはデジタル環境が基本だけど、その大本には、完全なアナログ意識が横たわっている感じだ。