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Time To Time 2011-2013 : 36-8
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この夏


陽射しはあらゆるものに影をつけた

反射熱の強い農道のオリーブの木
その下にはロバがいる

ロバの下には蟻がいる

陽射しは自分の影が欲しかった

白い長い影



曙光の射すころに旅立つ男

金色に輝くスニーカーの靴ひもを締め直して

男に影はなく

それに気づいたわたしに
共犯の眼差しで目礼し

またたくまに朝の白い陽射しに消えていった



カマキリに前世のいじめを詫びた

いいんですよ そんなこと

耳まで笑顔をひろげながら

しっぽの先端がカサカサと震えている



ジャスミンは自分の匂いが強すぎて

他の匂いが分からない

せめて蜂のギザギザの足に撫でられて

ぼんやりと うっとりと

遠い空を見ている 虚空の眸



こんな夏は

まわりじゅうが祭典で

自分はどうして生きてゆくのか
あの旅だった男のようにせめて影をなくしたい
影は色を濃くして勝手に動作を開始し
驟雨に備えて合羽など着込んで
地べたに座っている

Time To Time 2011-2013

36 - 8
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