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Time To Time 1986-1988 : 36-28
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北へ


各駅停車に乗り込んだ
底冷えのする夜明け前に
遠くの半島は薄墨色で
青灰色の海はまだ眠っている

また来てしまった

松原の向こうの砂浜を
カーキ色の作業服で歩いているのは
近所の漁師だ
犬が入江まで走って行って
浮いたような足取りでターンす

また来てしまった
この何も無い北の海へ

疲れた心臓はしわがより
やつれた視線はひびわれる
でももういいのだ
また来てしまったのだから
もういいのだ本当に

だんだん心は透明になり
瞳はガラス玉に変化する

眠っている海の上を
電車よりもゆっくりと
風が半島を渡って行く
わたしは先に半島に着いて
渡って来る風を坐って待つのだ
透明な心と
青いガラス玉の瞳で
渡って来る北国の白い風を待つのだ

Time To Time 1986-1988

36 - 28
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