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Time To Time 2011-2013 : 36-35
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貯水池


空港からヨークシャーへ
迎えの車は街道沿いの村を過ぎる
蜂蜜色の石造りの家々
「騎士の盾」とか「スワンの池」とかの
ホテルやレストランの看板
村は戒厳令が出たかのように無人
運転している初老の男が村のはずれで
「貯水池」と言う
緑に囲まれてそれより碧の水面
名前を知らないグレーの鳥が
列をなして浮いている
私はこの村に一度来たことを思い出す
かつての同居人と来たときに
手をつないで歩きながら
貯水池の畔で感じた不安

初老の夫妻の友人のもとで三日間過ごし 
また空港へ向かう道
来たときと反対側に貯水池
あのときと同じように
同居人と自分の髪、爪、骨が
水面に浮いてキラキラと光る

遠ざかる貯水池
カルシウムを失った肉体は
助手席でユラユラと揺れ
初老の男の来夏の予定など聞きながら
三半規管も溶け始め
狭い視野を
グレーの鳥の群れが斜めに横切る

Time To Time 2011-2013

36 - 35
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