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Time To Time 1996-1998 : 36-6
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ジョルジュ


北国の貧民給食所で
突然働き始めたジョルジュは
赤茶の髪を後ろで束ね
節の太い指をした大男で
すれちがうと旅とたばこの匂いがした
覚えのあるような手つきで
大鍋のスープをかきまぜる
どこから来たのかと尋ねた時に
「リューベック」と
ドイツの地名を言ったが
一緒に働く人々は
あいつはポルトガル人だと言った
名前すら旅先で拾ったのだとも
コーヒータイムに
自分より先に
私の皿にパンを載せ
コーヒーを注いでくれたが
余ったパンをポケットに入れたり
気に入らない小男が通る時
足が引っかかったふりをして
体重をかけたりするのだった
仕事が終わって
長老とバス停まで歩いていると
長老はつぶやいた
「ああいう男は手に負えない」と
私はもう少し無邪気だったら
ジョルジュに笑顔を見せたかもしれない
でもいつしか私は
全てを同時に見回すようになり
ジョルジュを最初から
冷たい北国の路地に放り出した
バス停に立つ長老の影は
年のせいで震えていたが
私の影には蒼く淡く
心が浮いて見えるのだった

Time To Time 1996-1998

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