HOME > 写真集 > Time To Time 1986-1988
Time To Time 1986-1988 : 36-14
前へ/Anterior
直子の場合


直子はテーブルに皿を並べる
星のかけらと花のかけらと
人形のかけらが窓越しに見ている
直子は鍋でものを煮る
本のかけらと壁紙のかけらと
海のかけらが窓越しに見ている
直子は小さな溜め息をつく
すべての思い出が溜め息をつく
直子の夫が帰って来る
モザイク模様が窓を覆う
黙って二人は食事をする
モザイク模様が滑り落ちる
黙って直子は片付けをする
青紫色の淡い天球が
窓越しに見ている
かつて直子が大事にしていた
愛とか夢とか気持ちとかが
淡い天球になって浮かんでいる
直子は気付かずにカーテンを閉める

Time To Time 1986-1988

36 - 14
前へ/Anterior
 intro.  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18 
 19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31  32  33  34  35  36 
次へ/Siguiente

次へ/Siguiente

戻る