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Time To Time 1989-1991 : 36-17
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東方の人々


坂道を下りて来る三人の人々
油を流したように黒く光る真夏の道を登る時
三人は登山のルールのように
道脇に逸れてわたしを通した
黄金を持った一人が言った
「お生まれになったそうです」
乳香を持った一人が言った
「今、行くところです」
没薬を持った一人が言った
「急がねばなりません」
三人は左に逸れる道を道なりに下って
鬼百合の咲いている門で姿を消した

三人は度々現れた
カフェのガラスの窓越しに挨拶を送ってきた
そしていつもの順で言うのだった
「お生まれになったそうです」
「今、行くところです」
「急がねばなりません」

三人はドアのチャイムを鳴らして過ぎることもあった
言葉と同じくらいの長さで

わたしの心のうちに静かな希望が広がっていった
青く深く
「お生まれになったそうです」
そして同時に
全ての女のうちに在る
その母の哀しさも体の隅まで広がっていった
「今、行くところです」
「急がねばなりません」
何処へ

Time To Time 1989-1991

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