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Time To Time 1989-1991 : 36-2
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夾竹桃


白い夾竹桃が咲いていた
それは微かな羞恥心を与えた
紅い夾竹桃が咲いていた
それは残っている微かな希望を思い出させた
夜に細かい星が降った
潮騒が聞こえていた
うっすらと砂塩の積もった路を
猫が足跡を残さず歩き去った
アパートの表の灯は暖かく
白壁とオレンジ色のスペイン瓦が
古代から在るもののように
そこに存在していた
自分の小さな生活を背にして
バルコニーからずっと夾竹桃を眺めていた
そして季節の変わり目に
あの海辺の町を去った日に
頭の1/4をあの町に置いて来た
それからもうどこへ行っても
生活も無く遠近感も無く
白い夾竹桃の枝先に
私の頭の1/4はぶら下がって風に揺れているのだ

Time To Time 1989-1991

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