湿原を暗緑色のジャケットで 水に沈むような木道を往き 風に背を曲げて寄ってきた我亦紅の ひとつひとつに名前を付ける
ヨハネ・アブラハム ペトロ・ガブリエル
山の稜線は背後に白い光を見せ 黒々と輪郭を現した 五十メートル程行った所に 右へ細く抜ける小道があって キジが三羽カヤに首を突っ込んでいる 私はもうすぐその光景を見るはずだ この一連の光景を そっと進めている大きな手が在る それがこの秋の夕暮れを しっかり腕で抱いている