モノクロの仕事は殆どないので、135専用のフォコマートでも問題なかったのだが、結婚してからふとしたきっかけで6×9を撮り始めたので、富士フィルムのB690(通称ダルマまたは富士B、現在製造中止)を買った。ネガキャリアがカマボコ型のが前期で、私のは普通の四角形の後期型。
名機と言われる富士Bも大伸ばしでヘッドを上げると、やや安定が悪く、場合によっては露光中にブレてしまうのもたまにあった。
たまに使う6×9だったのでこれでも良かったのだが、何を血迷ったのか途中で6×9でバコバコと撮るようになってしまったので、これでは保たなくなってきた。
友人のアドバイスによって、この6×9までOKなベセラー 23C IIIというのを買った。
東京で輸入販売しているのは、青物横丁の某事務所(名前失念)と銀一の2つのみ。青物横丁は安く、銀一はかなり高い。
銀一がボッているのではなく、アメリカ製故、結構初期不良と言おうか、多少の調整が必要なのが多く、そのクレーム対処として、一度銀一が調整する手間賃が加算されているのだ。
そう思ったらかなり安い値段だが、その手間が大変で現在、銀一はベセラーの取り扱いをやめてしまったと聞く(2003年)。
これは後になって聞いたことで、こちらは迷わず青物横丁で注文した。本体128,000円ぐらいだったかな。
運良く私のは調整不要な機種でそのまま使えていてラッキー。
かのアンセルアダムスもこのベセラーを愛用していて、良くできた引き伸ばし機と言えるのだけど、ピントリングが1つしかないのはアメリカらしいと言える。日本製なら、微調整ダイヤルがもう一つというところだ。
フィルムサイズによってヘッド上部のコーンを上下させるのがこのベセラーの特徴の一つかもしれないし、写真のように左右の支柱にてヘッドをキープしているのでより安定感があってとても良い。
しかし、キャリア装着部が自由に180度周り、その都度イーゼルで合わせなければならないところは好みだが、他の1本支柱の引き伸ばし機と違って、支柱が回転しないので、狭い場所やその他特別な作業において、この回転は重要ではないかと思う。
テストではないが、これで135を伸ばしたことがある。レンズは、EL Nikkor 63mm f2.8。
同カットをフォコマートで伸ばしたプリントと比較してみたが殆ど差が分からなかった。
これで言えるのは、欧米人の感覚や気候がこれらを共通にさせ、引き伸ばし機においては、レンズよりもコンデンサーが重要ではないかと思った。
それではフォコマートにEl Nikkorを付けて・・とか言ったテストもあるが、そこまでやる必然性が私にはないので、これは誰かにお任せしたい。
因に、これを富士B等の国産でやってみると、黒が良く締まりコントラストがやや上がる感じだった。しかし、これらは優劣ではなく作家の好みで使われるところだ。
こちらの相棒引き伸ばしレンズは、El Nikkor 105mm。このベセラーは昨年2003年春に買ったので、これから徐々に愛着が出てくるだろう。