Nikkor 300mm f2,8

Nikkor 300mm f2,8 誰でもが一度は欲しいレンズと言えば、通称サンニッパの300mm f2,8であることに異存はあるまい。
 20年くらい前は、「もっていなくても借りれば良いレンズ」から「持っていて当たり前のレンズ」になりつつある頃で、前述の羨望もあり気合いのキャッシュでゲットしたのが1986年。
 AF 300mmが発売された替わりにMFが製造中止になったのだけど、AF300mmの不評&クレームによってMFが限定再販され、それに便乗して買った。
 しかし、専用ケース付きのみでの販売となり不要な出費をしたのを今でも忘れない。
 エグイぞニコン!こういうのをあこぎな商売と呼ぶのだ。
 だいたい専用ケースというのは、新聞社とかレンタルショップなら使うが、クリーム地にでかでかと「300mm f2,8」なんて記されたケースなんて、これは高価なレンズだよ、盗んでね、と言っているようなもんで、これを入れて出かけるのはかなり勇気が要り、使わずにそのまま go to the 燃えるゴミと化した。
 ケース価格は30,000円ぐらい。フリーなりたて貧乏カメラマンにとっては辛い追加金だった。

 手持ちぎりぎりのレンズと言われているけれど、コンサートなど90分ぐらいこれを担ぎながら撮るのはかなり大変でそれなりの撮影体力は必須。
Nikkor 300mm f2,8 180mmとは違い、ファッションやポートレイトにも良く使った。意外とモデルというのは写真の門外漢が多いのでこれを見て、天体望遠鏡?とボケをかましていたが、美人は何を言っても許される。

 野鳥やサッカーなど限定された被写体を主に撮るということは公私共になかったので、長いレンズは300mmまでで十分だった。
 また撮影内容も一般的なので、あまり出番のないレンズの一つだけど、それでもここぞという時には本領発揮するから、縁の下の力持ち的な存在なんだろう。

Nikkor 300mm f2,8 TC-14B(テレコンバーター)を付けると、焦点距離が1.4倍になり、明るさは1絞り暗くなるので、300mm f2,8が420mm f4になる。
 そしてもう一つ、最短距離は変わらずそのまま300mmのままなので、420mmで最短2.7mまで寄れ、つまりマクロになるのだ。焦点距離の延長よりもこの接写効果を私は良く使った。
 絶妙なボケになるので、花や人形などのオブジェ撮影にはうってつけ。ボケ具合や色のトーンはマクロよりかなり良いが、これを担いでお花畑を歩き回るのはしんどい。