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台湾旅行/台灣旅行
 

郷愁の平渓線
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平渓線

 平渓線(平溪線)について事前にいろいろ調べてみると、途中台湾のナイアガラと呼ばれている瀧のある「十分大瀑布」という公園がある。
 入場料が510円(180元)だけど、平渓線の1日周遊券を買えば280円(100元)になるらしい。
 その1日周遊券は瑞芳駅で買うのだけど、台湾の時刻表を見ると瑞芳駅の手前にある八堵駅からも出ている列車もあるのだが八堵駅発着の時刻が記されていない。
 台湾在住の友人に聞くと、ここのところずっと十分大瀑布は閉鎖中とのこと。
 なんでも元々は個人の所有地で、それを政府が観光名所として開発しようとしているところに税金や使用料が折り合わず、地主が閉鎖してしまったらしい。
 ・・という何だか良く分からないことだらけの平渓線に乗ってみた。

 瑞芳駅は日本の駅のような改札口とかがあるのだが、本数が少ないのと反対側出口への通路開放の為か、改札口は各ホームの階段に設けてあった。
 そしてホームに平渓線専用の窓口があり、瑞芳駅までの切符を見せて1日周遊券を買う。155円(54元)。

平渓線一日周遊券 早速、例の瑞芳駅の日本人ガイド王さんに聞いてみた。
 「十分瀑布はやはり閉鎖中?」
 「あ、今はダイジョーぶだよ」
 「え、ほんと?今は閉鎖しているって聞いたけど」
 「今はダイジョーブ!!」

瑞芳駅 瑞芳駅 瑞芳駅
悠遊カードも使えるが、この窓口では平溪線の周遊券しか買えないようだ 分かりやすい案内図があったので
地図代わりにデジカメでパシャリ
ホームという意味の「月台」
綺麗な漢字だと思う
 十分瀑布は途中の大華駅と十分駅の間にあり、瑞芳駅からなら大華駅で降りる。道がないから線路の上を歩いて行く。途中トンネルがあるらしい。
 「トンネル、あぶないねー、その先には鉄橋もあり、あぶないねー」
 「でも、みんなトンネルを通っているよ。でないと行けないから」
 「だから、毎年何人かが事故を起こすんだよ。十分駅まで行って戻るのが良いよ。往復1時間〜」

 平渓線出発の10時58分に近くなってくると、いろいろな人達が集まってきた。
 カタコトの日本語で話しかけられたのは数人の初老グループだった。日本フリークなのか何回も日本へ来たことがあり、20年日本語を勉強している、3年日本語を勉強しているという猛者達で砂漠にオアシス風で嬉しいな・・・レベルは何故か私の中国語2年半と同じくらい。でも、こういう人達の出会いは嬉しい。
 もっと嬉しいのはルートが私と同じで、じゃ、一緒に行きましょう、ということになった。

平溪線 平溪線 大華駅
不思議な仕切版 みんなで撮りっこ 大華駅到着

大華駅 大華駅 大華駅
ほんと、なにもない駅だ。家が3軒ぐらいだけ。昔作った時には理由があったのかもしれない。
 台湾のローカル線車内は面白い。
 たいていお寺の輪のようなカタチのが車内中央にある。なんでだろう?
 「ナカジマサン、大華駅ですよ、降りますよ〜」
 降りてから「え?かのガイド王さん曰く、危険じゃないの?」、と日本語で言うのだけど全然通じないので中国語で言うと「大丈夫だよ、一緒に行きましょう!」

 台湾ナイアガラがなければおそらく誰もおりないだろう大華駅で降りる。
 ほんと何もない。

 30度近くある快晴だったけど湿気もなくラッキーな行楽日和。
 テクテクと線路の上をあるく。ところどころ微妙に線路がゆがんでいる。熱による膨張でつなぎ目にはアソビ空間があるのが日本だけど、この平渓線の線路アソビがない。

 歩いていると前方のご夫人が叫んでいる。
 もちろん台湾語なので分からないので同行のおじちゃんが「蛇がいるみたいだよ」
 行ってみれば干からびた白と黒のまだらの蛇があった。どっからみても毒性のあるやつだ。
 聞けば、台湾には毒のある蛇が5種類あるそうだ。動いていなくて良かった。

 聞くと台湾の定年は65歳らしい。
 その言い方がちょっと以前の日本的な寂寥感があったので「じゃ、これから第二の人生の始まりですね」と言って励ました。

瑞芳駅 瑞芳駅 瑞芳駅
駅周辺には側道がある 劉さんご夫妻 いよいよトンネル、一人だとかなり怖い。
要事前の時刻表チェック
 大華駅からテクテク歩くこと15分、例のトンネルがあった。
 距離にすれば50mぐらいだけど、途中、列車が来れば端に寄って伏せないと大事故になること必須なぐらい狭いトンネルだ。
 時刻表をチェックして入る。
 こういう場合、まったく説得力がないのだけど、みんなで入れば怖くない、というのがあった。ほんと一人じゃなくて良かった。

 トンネルを抜けると、そこは雪国ではなく十分瀑布入り口だった。
 以前の情報とは違っていて、トラブル後の再開によって一律250円(80元)になっていた。
 じゃ、入りましょう!と思っていたら、何故か同行のご老人達「滝を見るのにわざわざ250円払うのは高いよ、入らないでそのまま十分駅まで行きましょう、ナカジマサン〜」
 おいおい〜、ここまで来て、見ないのかよ?!
 私はわざわざ日本から来て、わざわざ怖いトンネルを通ったので是非ナイアガラを見たい、と思ったのだけど、「じゃ、私は見て行きますので、後で時間が合えば先でお会いましょう」とは言えなかった。小市民だなぁ。

十分瀑布 十分瀑布 十分瀑布
正式名は「十分山水有楽園」のようだ。ここに駅を作って欲しいと思うのは私だけではあるまい。
十分駅からの往復が安全だけど、かなり遠回り感がある。
 少し歩くと確かに鉄橋が見えてきた。
 ここを渡っている最中に列車が来たら、と考えるだけでもデンジャラスだ。
 その横に一緒につり橋が掛かっていてそこを抜けると平渓線に平行した道路に出るので、テクテクとそこを歩いて十分へ向う。入り口にはランタン(天燈)発祥の地、と記されていた。
十分瀑布 十分瀑布 十分瀑布
見晴らしの良いところなので、今度来たら列車を待って鉄ちゃんだ。
立て札には、台湾鉄道法により軌道を歩いた場合は、600円(200元)以上5,700円(2,000元)以下の罰金。
 彼らは台北在住の夫婦共々の仲良しお友達で、何回かこの平渓線沿線には車で来ていて、今回は列車に乗って行こうというところで、私と出会った。

 「台湾料理をごちそうしますよ」
 昼飯は、十分にある「迴車道」というお店に誘われた。彼らの良く行くお店らしい。
 基本的には大皿を幾つか注文し、それをみんなで小分けして食べるスタイルのようだ。白いご飯は無料でお代わり自由。
 あまりにも暑かったので私は台湾ビールを2本頼んでガピガピ〜。
 台中滞在中にて良く見かけたような料理ばかりが運ばれてきた。嫌な予感・・食べてみると、おお、それなりに塩分があって美味い。特に煮込んだ豚肉。八角の香りが効いていて美味。
 もう一つの悪い予感が当たり「友達〜友達〜」と言いながらご馳走になってしまった。
 最後にハマグリのスープが出て、どっから見ても薄そうだなぁ、と思っていたら、これがショウガの香りが効いていて美味い!お代わりしてしまった。
 各自マイ箸を持っていた。聞けば、エコに配慮したブームとのこと。

迴車道 迴車道 迴車道
迴車道 迴車道 迴車道
それなりに塩味が効いていて美味。特に甘辛に煮込んだ豚肉が最高〜!
 ほろ酔い足取りで十分街へ向かう。
 面白い町並みで、ちょうど江ノ電をよりローカルにした感じだ。線路の左右にお店が建ち並び、人、バイク、列車、車などの優先順位が同等に共存しているエリアだ。
 平渓線で言えば、終点の菁桐駅よりもこの十分の方が一番大きい。
十分街 十分街 十分街
誰でもがにわか鉄ちゃんになってしまうくらい、いろいろ写真を撮りたくなってしまうノスタルジック満載の小さな町
十分街 十分街 十分街
十分駅 十分駅 十分駅
右のが本物、左側には落書きが一杯 雰囲気一杯の十分駅舎
 次の列車がこの十分を通るところを写真に撮りたかったのだが、「ナカジマサ〜ン、電車に乗りますよ〜」。同行なので一緒に駅へ向う。

 平溪線終点の菁桐駅
 どっかのカフェテリアで休憩一服ではなく菁桐の駅前公園内の休憩所へ行き、コンロを取り出しお湯を沸かしてみんなでインスタントコーヒーを飲む。
 なんで、こんな場所にコンロとかコーヒーとか持参してくるんだ?
 聞けば、山登り的ハイキングの趣味もやっていて、みんなで集まってどっかへ行く時はこんなコーヒータイムをやるのが常だそうだ。
 歳を取り、退職しても夫婦同伴の仲間達であちらこちらへ行き、自分たちなりの楽しみ方をしているのを見て、自分の老後の有り方のヒントをもらった感じだった。

菁桐駅 菁桐駅 菁桐駅
菁桐駅 菁桐駅 菁桐駅
菁桐駅 菁桐駅 菁桐駅
 菁桐駅から台北捷運(MRT)の木柵駅までのバスがあり、彼らはそれに乗って帰るそうなので、そこで記念写真を撮って別れた。
 住所を聞いたので後で写真を送ってあげよう。

 一人で菁桐駅に戻ると新婚さんの記念写真を撮影していた。こういうのあちらこちらで良く見かけ、私からするとめちゃくちゃ恥ずかしい。台湾の風物詩の一つと言えよう。
 電車が動き出し瑞芳駅までZzzz.......、瑞芳から乗り換えて台北までも同じくZzzz.......。
 台湾のナイアガラは次回訪台の時の課題と相成った。


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