とうとつに「たまごっちが欲しい」と娘に言われた。
「昔流行ったけど、今はもうすたれているから、店頭にて山盛りで売っているのでは?」と、のたまわって行ってみれば、あっさりと「売れ切れです」。
リバイバル風に子供の間で流行っているそうで、ヤフオクを見たらさすがと言おうか、定価の倍ぐらいで出品してあった。
昔ほどのブレークさはないけれど、モノは確実に品薄だ。
何軒もドサ回りし、最後にダメもとで近所の小さなおもちゃ屋に行ったら、灯台元暗しで、なんと3つも残っていた。
カムバックたまごっちは、しっかり進化していて、通信とかで友達と交信したり、ポイントを溜めたり、専用サイトには墓があるとか・・・だそうだ。
とやかく言うまえに、画面が小さくて、老眼が入った私には全く見えないのだ。隣にいる小さいモノが、ウンコなのか子供なのかが分からない。表示も昔のMacintosh Imagewriterみたいなギザギザ文字で尚且つ小さく見づらい。
いまだどういう形態になっているのか不明なたまごっち。少なくとも40才以上は、遊ぶのに難しい玩具だと思った。
どうせすぐに飽きるだろうと思っていたら意外と頑張って飼育している娘。特に電池交換のトラブルでメモリーがリセットしてしまってからは、気合いが入り、毎日チェックしている。しかし週に1回水をあげなければならない本物のさぼてんへの水は良く忘れる。
きりのなさそうなたまごっち、いつかは飽きるのだろうな、と思っていたら、なんと「なめねこ」が出現した。結局は虐待風の強かった猫へのモデル強要、いくらなんでも時代が違うんじゃないかなぁ。
たまごっちの育成は24時間体制だ。
ちょこっと見るとウンコしていて掃除しなければならないし、食事も「ごはん」と「おやつ」の2つがある。何処からか屋台のおじさんが何かを売りにきたりと、これらが頻繁に起き、なかなか目が離せない。
普通の勤め人達はどうやっているのだ?と思ったら、机の下とかで隠れてコソコソらしい。そこまでしてやるか?と思うけど、価値観は人それぞれ。
当然学校には持って行けないので、スリープ状態(とかいう名称だったかな)にして出かけるのだが、その途中で電池がなくなるとジ・エンド。
電池残量表示がないのは、よりリアリティさからか。だけど所詮バーチャルゲーム。これじゃ、たまごっちの為の生活を余儀なくされてしまう非常に不気味な玩具になってしまうのだ。
当然ながら娘が学校に行っている間に2匹目は昇天した。
3匹目はしょうがないのでカミさんが職場に持って行ってシコシコ。
それでも忙しさから家に置き忘れてしまうと、電話がかかってきて私に飼育の依頼。やり方が良く分からず適当にボタンを押していたら(トイレ掃除だけマスターした)、ことごとく見合いを断り、とうとう行かず後家ばぁさんに変身してしまった。「おときっち」とかいう名前だったかな。
小さなモニターとボタンを押しながら、仕事の合間にトイレ掃除をしている私。
時流とは言え、なんでたまごっちにまで老人介護の世話をせにゃぁならんのだ。娘よ、やめようぜ、こういう不毛なゲームは、と叫びたくなった。
やっと熱も冷め、テーブルの上で電池が切れるまでスリープ状態になっていて誰も手を付けない。
このまま朽ち果ててしまうのだろう「おときっち」、あぁ合掌~!
ある日、帰宅してみると、リビングの上に見たことのない異様なモノが置いてあった。
やたらバカでかい「たまごっち」だ。ちょうど特大肉まんを上から少しつぶしたような大きさの、競馬ファンなら小さ目なバフンの大きさの、通常のたまごっちから、可愛いさ、キッチュ、飼育したい、癒し系などを取り去ったようなシロモノだ。
子供の興味は、流行っていてみんながやっている、というところから入るのが多いのだが、さすがにこれは理解できないぞ。柳の下のドジョウ狙いのバンダイのヤケクソ商品と言えよう。
こんなに大きければ、キューブやPSPがライバルと思いきや、相変わらずモノクロ2色のドットむき出し画像が動くだけで、子供だましの何者でもない。まだ、普通のたまごっちの方が理解できる。
とは言え、おもちゃにも人格ならぬ物格があれば可愛そうな末路を辿るのが宿命かもしれない。
たまごっちは、寝室のラックの上で冬眠置き去り状態で、デカたまごっちは、なんと床に積み上げられた雑誌の裏側に落下状態のままで留まっている。映画トイストーリーを思い出した。
あー、合掌。 |