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再び、函館へ 2006.12.27-29

函館山 今年の家族旅行は8月の草津温泉の2泊だけだったので、駆け込み的に申し込み敢行したのが2年前と同じ函館リーズナブルツアーだ。
 27日出発なら2泊3日で30,000円強、28日なら39,000円。29日なら46,000円。カミさんに有休、または忌引を取らせて27日に出発。新幹線と飛行機のコンビはなくなり、往復ともJRオンリー。単純に埼玉から函館まで6時間。
 親父の形見の池波正太郎の全作品を読み続け、そのフィナーレは全12巻の「真田太平記」で締めくくろうと思っていて、そのラストのvol.11,12を往路の新幹線でじっくり味わおうと思っていたら、悪魔の囁きで前日にちょっと読み始めたら止まらずにvol.11を読み切ってしまった。かの真田幸村が大阪夏の陣での討ち死にがクライマックスだ。やめとけば良いのに、そのままラスト章のvol.12の1/3まで読んでしまった。
 私のような浅薄での日本史でも「真田」と言えば、十勇士でも兄の信之でもないし、父の昌之でもない「幸村」である。
十字街 史実に沿って描かれているけど、部分的な詳細はフィクションである。でも、それが、こんなかんじだったんだろうな、と思わせる。いや、もしかしたら騙されているのかもしれないけど、でも、これで良いや、と思わせるぐらい引き込まれてしまうのが池波ワールドかもしれない。
 盛岡を過ぎた辺りで読み終わった。
 ストーリーからすれば幸村の死で終わるのが普通と身請けら得れるが、おまけと言おうか、ちゃんとその後の真田家の行方をフィクション風にも綴っているのが読者への池波さんの嬉しいオマケ風に感じ、子供だまし的な裏ダンジョンを取って付けたようなリメークのドラクエとは違う良質なエンターテーメントだ。

 この余韻を残しながらネクストと、藤沢周平に入ったが、どうしても池波調で読もうとするので、藤沢氏にとって分が悪い。
 大好きな真保祐一の「誘拐の過日」を読み出した。真保さんのはヤバイいのですよ。まくしたてるような展開で、一気に読まないとダメ、と思うようなものばかりだ。
 東野圭吾も悪くはないけど、ラストのどんでん返しに重点を置き過ぎる観がし、短編なら読み切れるけど、長辺だと途中で我に返ることがある。

旅館の食事 泊まった宿の初日の夕食には、一人一杯の毛ガニが付くサービスがあった。
 嫌いじゃないけど、むくのが面倒でポイントが低い。それでも残してはと思って一生懸命やったらそれだけで30分もかかってしまった。
 料理は非常に丁寧に作られているけど、素材が函館然としていなかったのは価格として仕方がないことだろう。
 早々に切り上げ、休憩の後、町に繰り出した。

 二年前に訪れた函館に通った寿司屋にまた行った。 市電湯の川温泉駅前にある「大寿司」というお店。
 今回はちゃんとホームページもできていた。
 さすが客商売のお店で、2年前の怪しげな我がファミリーを覚えていてくれた。
 有名な寿司屋でもない、その辺にごろごろしているような普通の寿司屋だ。詰まらないことだけど、2年前に行った時、一見の客に「今日はこんなのがありますよ」と、出してくれたのが子持ちのイカ刺しなどのサービスが忘れられない。
 今回は、茹でて味噌和えにした戸井産のマグロの胃袋が出てきた。こんなの初めて食べましたですよ。
 道産子からすればどおってことないモノかもしれないけど、少なくとも私には初めて食べた珍味だった。
 さっとこういうのが出てくる、普通のお寿司屋さん、好きだな。
 大将、ずっと東京で修業していたので、握りも江戸前で、シャリが小粒なのが粋だ。

 マグロでも戸井産のは逸品らしい。
 確かに美味い!あの柔らかさの中にある甘味が至福だ。しかも戸井産のはその場で締めるから血が少なく、さっぱりしている、とカミさんが言っていたけど、私なんか他の良いトロとの区別がつかなかった。大将、ごめん、私には猫に真珠だよ。

再び、函館へ 寿司屋からすれば私はあまり好まれない客だと思う。
 頼むのは光り物とイカ、タコぐらいであとはひたすら熱燗。それでも前回大人2+子供1人で13,000円だった。今回は時間もちょこっとだったので10,000円と思っていたら、いきなり17,000円。
 函館の市電に乗って子供料金を払おうとしたら「中学生ですよね」と言われてしまった身長150cm近くある娘の食い盛り突入を忘れていた。
 私はへらへらと熱燗でやりながら大将といろいろ話しをしていて気づかなかったが、後でカミさんに聞いたら、娘はイクラと戸井産のトロ、それぞれ4回も注文していたそうだ。たぶんこれだけで7,000円だ。回転寿司じゃねーんだよ、バカ娘。

 翌日は、さすがに海産物は飽きたので、湯の川温泉駅前にある「あかちょうちん」というひねりも何もない名前の刺し身系+炉端風の居酒屋へまず行った。
 北海道へ来ていつも思うのは、ほっけがやたらバカでかいのと、じゃがいも(男爵&メイクイーン)が美味いという2つだ。じゃがいもの香りが口の中で広がり、こちら首都圏ではなかなか味わえないシロモノだ。山陰鳥取で食べた塩鯖もそうだ。何が違うのだろうか?
 「食い倒れ」は大阪だけど、北海道の方が当てはまるような気がする。とにもかくも値段は普通なのに「量が多い」。
 観光客向けの場所は、それなりの価格だけど、地元のお店は、たいていてんこ盛りだ。

函館山 前回は正しい夜景を見ようと、空が暗闇になる前の濃紺を狙って17時頃行った。それが今年夏にやったTime To Timeに出ている写真。
 なので、今回は昼間に行った。昼間も良いんだな、これがまた。世界三大夜景に一つですよね、函館は。後は香港とイタリアのベニスだったかな?
 香港も絶景だったけど、左右の湾に囲まれている景観の面白さが函館にはあると思った。
 因に日本三大夜景は、函館、京都、六甲山、だったかな?

 その「あかちょうちん」でさんざん飲み食いしたけど、会計は7,000円。安いなぁ。
 2件目は、毎度の大寿司と思ったけど、さすがに腹が一杯なので散歩しようと、小雪降る湯の川温泉を歩いていたら、8席しかない細長いカウンターだけの小さなおでん屋を見つけた。外から見ると客がおらず、ひまそうにおばちゃんがテレビを見ていた。
 「おばちゃん、子連れだけどいい?」
 繁盛している感じではなく、取り敢えず店を空けていると言った感じなので、おでんもいつのだ?風で、かなり煮込んであって私好みだった。
 我が家族はみーんな嗜好がバラバラで、同じ注文をするのはデザートのアイスクリームとかぐらいだ(省く、私)。
 ただ、おでんは微妙だ。かみさんは、つみれ、がんも、ばくだんで、私は、こんにゃく、昆布、厚揚げ、娘は、こんにゃくのみ。で、こんにゃくで娘とモメる。
 いきなり娘が「すみませ〜ん、こんにゃく3つくだ〜い」
 「バカ!いきなりこんにゃく3つはねーだろがッ。オレも頼むんだし、こんにゃくを減らして他のも頼め!」
 「それじゃ、すみませ〜ん、こんにゃく2つとシラタキを1つください〜」

金森赤レンガ倉庫 雪がチラチラ降っているのが水滴で曇ったガラス越しに見える。そこに市電がゴトンゴトンと湯気の立つおでん釜の先を流れる。
 おお、北国の酒場で飲んでいるっつー雰囲気じゃないかい。BGMはクラプトンやJAZZじゃなくてやっぱサブちゃんか森昌子の演歌だよ。カミさんはそこのおばちゃんとテレビでやっているスケートの話をしている。函館がより好きになった。

 トイレは狭いカウンターの先の奥にあった。
 用を足して戻ったら、ミラーボールが回っている大きなホールに立っていて、さっきのおばちゃんの年齢の半分ぐらいの綺麗なママさんがにっこり笑っている。
 隣では、見知らぬおっさんがマイクを握りしめて熱演している。
 一瞬、頭が真っ白になった。
 さっきまでは狭いカウンターのおでん屋で飲んでいたよな、でも、今はラウンジバー?
 そー言えば、娘がピンクレディの曲を歌いたいと言っていたから、3軒目に突入したということ?でも、そんなに飲んでいないし、2軒目から3軒目までの記憶だけがザックリないというのはどうしたんだろうか?
 ボケたのか?それとも夢を見ているのか、漫画や映画に出てくるような異次元スポットに入ってしまった超常現象なのか?それとも「どこでもドア」が実際にあったのか?  いやいや、この時はマジで酔いが覚めましたですたい。

 美人のママさんが「お客さん、出口を間違えましたね。あちらですよ」と左を指した。  経営者が同じか、おばちゃんの旦那さんがオーナーなのだろう、おでん屋とラウンジバーが隣り合わせでトイレが共同というやつ。
 勝手な勘違いだけど、その勘違いの中で、SF的な世界を遭遇した勘違いはなかなか楽しかった。席に戻ってみれば、変わらずおでんのゆげの先に市電がゴトンゴトンと走っていた。

函館駅 最終日、2時ぐらいのスーパー白鳥、八戸行きに乗る為に函館駅に行った。
 通路には「ようこそ、函館へ!」というキャッチの横に歳三の写真があった。これは分かるけど、その隣に何故か啄木のがあった。啄木は岩手じゃないかい。なんで函館?
 イカ飯、かずのこ、すじこ、シャケなど北海道でとれるものがたっぷり入った「北の家族」弁当をまた買った。
 JR系旅行パックは良いんだな。
 +3,000円でグリーン車に乗れるのだ。八戸から大宮までの新幹線はグリーン車だ。でも椅子は広くてゆったりしていて良いのだが、喫煙席がない。
 隣は自由席の喫煙車両。堀部安兵衛を読みながらちょくちょく隣の車両へ。最後は面倒くさくなって、堀部安兵衛と共に喫煙車両に場所を変わりペラペラ&スパァ〜。
 椅子に座って本を読みながらタバコを吸うのって幸せなことなんだなぁ、とつくづく思った。当然グリーン車よりも座席が狭い普通車両だ。
 我が器、ここの見たり。

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