2009年11月、9年振りにスペインの友人エミリオが来日し、それも5人なので、舎弟マリコン氏と車2台で成田へ。
日本人的に早めに行ったので、9:05着の30分以上前に着いてしまった。
早く着きすぎた割にはラテンっぽい外人が多くて、あれれ?と思ったら、メキシコ発8:00着の人たちだった。
やることないので喫煙所でプカァ〜。
一服して戻ってくると散開した到着ロビーに映画ニューシネマパラダイスを彷彿させる二人の中年メヒカーノスがポツンと立っていた。
ん?と思って目線が合ったら向こうが「エスパニョ〜ル?」
背の低い方のおじちゃんが言うには名古屋に留学している息子に会いに来て、その息子を待っている、とのこと。
「ふぅーん、じゃ二人で名古屋へ行くんだ。」
「いや、オレはこれから沖縄へゆくんだ」、その背の高い方が言った。
「??・・・じゃ、ここで何してんの」
「彼の息子が来るまで一緒に待っているんだな」
「ふぅーん、沖縄はいいね、いつ行くの?」
「今日のこれからで羽田からだよ、そうそう、どうやって羽田に行くか教えてくれないか」
英語で記されたスケジュール表を見たら、11:45発JAL・・・この時点で9時ちょっと前。こんなところで見知らぬ人の息子を待っている場合か?
この名古屋行きメキシカンをマリコンに任せて、沖縄メキシカンをバス案内所へ連れて行った。
のんびりしている場合じゃないよ、すぐ行かないとその便に乗れないよ。今からならバスが一番早いよ。
「バスより電車がいいな・・・」
「日本語はダメだよねぇ、でも英語は分かる?」
「No....」
「じゃ、確実に無理だ、成田から羽田までの直行バスがあるからこれしかないよ」
不本意そうな顔をして私を見つめる沖縄メキシカン・・悪いのは私か?
でも、たった成田〜羽田間のバスなのに妙に高い、いや高過ぎる!3,000円だよ・・完全なボッタクリ価格。
一緒に切符を買って指定されたバス停まで案内して、なんだかこっちが一安堵したので、喫煙コーナーにて一服して戻ってきたら、隣に並んでいる二人の日本人女性にスペイン語でナンパしている・・・こういう性格になりたいな。
「いやいや、いろいろありがとう、日本ってスペイン語通じるんだね」
「日本語ができるメキシコ人って多い?」
「とても少ないよ」
「それと同じくらいの比率だよ。まず皆無、と思ったほうが良いよ。ま、沖縄だから、多少英語は通じると思うけど・・」
沖縄メヒカーノを見送って戻ってくれば、マリコンが悪戦苦闘している。
ここから名古屋までは近いのか?どうやって行くのか?の質問をしているようだ。
到着時刻を1時間過ぎているのに息子が来る気配が皆無。
でも名古屋大学の留学生とのこと、優秀だな!
「携帯の番号なら分かるよ」、早くそれを言ってくれよ、名古屋メヒカーノ。
マリコンが替わりに電話をしてる・・・あん?なんで日本語喋ってんだ?
どうやらその番号は緊急連絡用の日本人同級生のだ。ダメじゃん〜。
「ところで息子さんは日本に長いの?」
「二ヶ月」
「に・・・二ヶ月?!」間違えて羽田に行ったんじゃないのか?
いくらなんでも1時間経ってもこないのは変だよ。
一応、もし来なかった場合を想定し、おじさん一人でも行けるように成田から名古屋までの行き方をメモしてあげた。
成田のロビーの床にしゃがんで書き込む三人。
「一応日本語でも記した方が良いんじゃない?」
「テンパククってどう書くのでしょう?」
「聞いたことないなぁ、天に白で良いんじゃない?日本語書いておけば分かるよ〜(いい加減)」
9時40分になると、エミリオの乗っている便のエアフラの乗客達もゾロゾロでてきた。
息子はまだ来ない・・・。
私とマリコンは無言で同じ事、つまり最悪の状態を想像してる。
息子が来る前にエミリオ達が出てきてしまうことだ。
となると、そのおじさんを残して出発しなければならない。何処からみても義理はないのだけど行きがかり上、かなり後ろ髪を引かれる思いだ。
ちょうど捨て猫を見捨てて去るのと同じ気持ち。
どうにもこうにもならないおじさんの目は涙目一歩手前だ。こっちも泣きたいよ〜。
運良く?たいていの乗客が出払ったのにエミリオ達は出てこない・・え、こちらも待ち人来ず状態?
個人情報云々でうるさく言われるけど、エアフラのカウンターで乗客名簿のチェック交渉をしなければならないのか?とブルーな気持ち一杯になった10時ちょっと過ぎ、やっとやっと2時間遅れでその息子が現れて涙のご対面〜。
いやいや、こちらもニューシネマパラダイスのラストシーンを見る心境だった。
よかったね、おじさん〜!
感動したおじさんは財布からドル紙幣を出して私たちへのお礼を示そうとした。
当然断ったが、後で「何ドル紙幣だったんだろうか?」二人ともドル紙幣には全く縁がない。
100ドル紙幣だったら、おおお、10,000円だよ、今日の飲み代がチャラになったね。
1ドル紙幣ってぇことはないよね、それじゃ100円だよ、じゃ、10ドル紙幣か・・・いや、1000ドル紙幣なんてぇのもあるかもよ、アメリカだからねぇ・・おばかな二人だ。
その10分後にやっとやっとエミリオと再会。
たいていのスペイン人は大家族だ。
よって家族紹介なんぞをされると「姉の弟の子供」「カミさんの弟の娘」「兄の嫁さんの姉貴」という横溝正史の本さながらの複雑怪奇な家系図を続けざまに聞かされるので、たいてい最初ぐらいしか覚えられず、最後は「君の親戚達ね」で済ませてしまう。苦手な分野だ。
今回も5人というのは分かっていたけどどういう家系図かは良く分からなかった。
エミリオと奥さんのコンチ、そして孫のダビ、残りの二人はエミリオの娘(息子かな?)の配偶者の両親、セシリオとカルメン。
こういうの日本語で聞いても良く分からないもんだ。後でゆっくり聞いてやっと分かった次第。はぁ〜。
その夜は、友人トモちゃんのお父さんが経営する赤坂の「セルベリア」で乾杯~。本店生ハム工房は秋田の「グランビア」。
泊まっているホテルは新宿御苑の近くなので、大仏までは新宿からの湘南ライナーから小田急ロマンスカーだ。
前夜に確認したら「座らなくても良いよ、なるべく安いやつ」と、言っていたのに当日の朝、突然「座ってゆけるかい?」
ロマンスカーが空いていたので片瀬江ノ島へ。座ったとたんみなさん、Zzzzzz....。
終点近くになって起こすと「腹が減った」。
事前に朝飯はあらかじめコンビニで買っておいて朝、部屋で食べなね、と言っておいたのだが・・。
駅前にマクドナルドがあるよ、と言ったらみんなの目が輝き始めた。
「でも、ごめん、他の友達が長谷駅で待っているので、10分しかないけど大丈夫か?」
「コーヒーとドーナツだけだから大丈夫!」
同行のセシリオがコーヒーに間違えてレモンティのシロップを入れてしまった。日本が初めてなのでいきなりのホームシックとカルチャーショックからか、それでブチ切れた。
幸い、お替わり自由なのでラッキー。アンラッキーだったのは結局20分後に出発し、ばっちり30分の遅刻・・。寒い雨の中を待たせてしまった。
大仏は外国人に分かりやすいから良い。
単なるお寺とかだと歴史を知っていないと面白みも半減するけど、大仏はビジュアル的に説得力があるからだ。
隣のお土産売り場では、手裏剣やまきびしなどの忍者グッツが売っていて、18歳の少年ダビは狂喜乱舞。スペインには持ち込めないモノもあるのでいろいろアドバイスをして、結局手裏剣を買っていた。
その後に行った長谷寺も外国人ご用達だ。
水子の人形がたくさんあり、綺麗な庭園、大きな黄金の観音菩薩像、由比ヶ浜が一望できる展望台、そして洞窟もあったりで、これで拝観料300円は安い。
雨が止まないので「ウインドウショッピングでもする?」と聞くと、何回も来ているコンチは「いや、そういうのはもう要らない」。
鎌倉で食事をして、その後、雨の中をテクテクと八幡宮へ。
5時過ぎの湘南ライナーで新宿へ。
幸い、幾つか空席があって全員座れたのがラッキー。みんないきなりZzzzz・・、ま、雨の中をさんざん歩いたので疲れたよね。
新宿ヨドバシにて欲しいモノの値段チェック。
プレステを買おうとしたけど、価格はスペインと変わらないらしい。ダビの欲しいイオスキッスは値段を確認し後でスペイン価格と比較してみるとのこと。
何回も来ているエミリオだから、明日は自由にアキバへ行くのも良いよ、と言ったら、タクシーだと高い?とかどうやって行くのかをしつこく聞かれたので、ダビに、新宿駅の13番線の黄色い電車に乗ればアキバへだ、帰りは新宿方面の黄色い電車だ、と教える。するとまたエミリオが「浅草って近い?」
仕方がないので早々に仕事を片づけて、明日もまたホテルにて11時に待ち合わせすることになった。
「○×駅の▲□出口の改札前で待ち合わせね」というのができないのが今回のちと辛いところで、ちゃーんとホテルまで迎えに行かないとならない。
外国人観光名所の定番の浅草へ。
入り口の大きな提灯の前で記念撮影をしたり、仲見世をブラブラと。
途中のお店で、きなこ餅とみたらし団子を買ってみんなに分けたけど、コンチとカルメンは、とっても美味しそうではない表情をしていた。
セシリオは見ただけで食べようともしない・・みんな、かなーりのホームシックになっていた模様。
昼飯を食べようか?
エミリオが「どこかの日本料理屋へ行こう」、一瞬、他の人たち全員の目殺を背中に感じた。
絶望的にブラブラ歩いていると、あの激安ファミレスの「サイゼリア」をセシリオとカルメンが見つけた。浅草とサイゼリアなんて六本木ヒルズでワンカップを飲むようなもんだ。
入り口にはピザやスパゲッティなどの写真入りのメニューが掲げられていて、ふとそれを見たエミリオ以外の人たちは「昼飯はここにしないと動かないぞ」みたいな決意の固い表情をしていた。
サイゼリアは嫌いじゃないから良いけど、ま、いいか。
スパゲッティやピザなどを各自頼み、ほうれんそうのラザニアをみんなでつついている。
¡¡Ohuuu..auténtico, benísimo!!・・・サイゼリアってそんなに美味かったっけ?ま、ゲストが喜んでいるから良いか。
美味さついでにトーストとラザニアを追加していた。
コンチが「真珠が欲しい」。
現在、東京を代表するデパートと言えば新宿伊勢丹と上野松坂屋だろう。
で、その松坂屋へ行ったけど、0が一つ多くてパチンコ玉ぐらいの真珠の指輪が283,000円。
ウインドショッピングと相成りてそのままアキバのヨドバシ行き、ダビのデジカメ探し。
結局Nikon D3000を・・、ついでなのかセシリオも同じのを買った。
オマケで4GBのSDカードがついてきた・・一昔前なら4万円ぐらいしたのが今やオマケ・・凄い時代だ。
因にパスポートを見せると免税の5%引き。
さすがに連日の東京散策なのか、エミリオ以外とにもかくも地下鉄に乗ると目つきが変わったように空席を探している。
座ったとたんZzzzz.......が毎度となり、ここだけ日本的習慣を身に付けみたい〜。
ホテルに着いたのが6時半。
オフまで1時間半あるので、B1にある大浴場に誘った。
が、オールヌードになること自体かなり抵抗あるのか、エミリオもダビも入り口に来たところでかたくなに拒否・・・後日彼らは宮崎へ行くけどその中に阿蘇の旅館泊があるが、どうなるのだろうか(笑)。
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これは前日の迎撃オフ「和民」での写真 |
その日私もホテルに泊まり、一緒にホテルのバイキング朝食をとった。
みんなトレーに数枚のトーストに、ハム、目玉焼き、フルーツなどをたくさん乗せていた。
「おいおい、スペインの朝食ってパンとコーヒーだけじゃないの?ちょっと量が多くない?」
私の声なんぞは聞こえていない風にバコバコと喰いまくっているセシリオが「出かけた時は別だよ」。
たいてい少人数で来るエミリオで、いつも日本食を求めていたのでついそのつもりになっていたけど、初めて日本に来た外人には食べ物が合わないことだってままとしてあることが分かった。
朝食後、私は仕事があるのでエミリオ達とは別れ、仲間のトモちゃん達が原宿〜明治神宮〜渋谷を案内した。
何処で食事をしようか、という時になってエミリオ以外のみんなが「昨日行ったサイゼリアが良い!」と大合唱してその領収書をトモちゃんに見せたらしい。
残念ながらサイゼリアは原宿にはないらしく、似たようなイタメシ屋で飲みや喰うやしたらその領収書を見て「なんで、こんなに高いんだ?!サイゼリアはもっと安かったぞ!」。
そんなにサイゼリアが気に入るとは思わずチェックをしなかった。因に新宿ヨドバシ本店と渋谷東急ハンズの横にある。
その翌日は、東京を離れ名古屋へ。
ホテルは丸ノ内線新宿御苑駅から徒歩10分、そこから新宿へ行き、山手線 → 品川〜新幹線というルートでの移動を考えて、スーツケース等荷物の数を聞いたら「6つだよ」・・・5人で来ているのに1つ多い。
トモちゃんが何回も「新宿駅まで地下鉄?それともタクシー?」と確認した答えは「安いから地下鉄で行く」。
当日の朝、いきなり「タクシーで行こう〜」、朝令暮改ならず暮令朝改が毎度のスペイン人だ。地下鉄かタクシーかでは待ち合わせ時間も違ったのだがねぇ。トモちゃん、お疲れさん〜。
日本に来る前にエミリオからホテルの予約などのメールが来ていて、ついでだからマックのキーボードを買ってきてもらうように頼んだ。
当然「ñ」付の純正スペイン語のだ。
嫌な予感がしたけど「これはお土産とかではなく、私が個人的に頼むものでちゃんと代金は払うからね!」と念を押して買ってきてもらったけど、案の定代金は受け取らない。ごめん、エミリオ。
江ノ島行きロマンスカーのみんなの代金を立て替えたのをそのままにしてあるからそれでチャラにしてね〜。