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「なんで伊勢エビなの?」
「沖縄に着いたら活きのよい伊勢エビを絶対食べたいな!」
今年の秋にグループ展があるので、その撮影取材と云う正真正銘の大義名分言い訳的での今回の沖縄行き。未だ1回目のローンも払っていないオリンパスOM3に100mm f2,8を付けて機内の窓から雲海をずっとバシバシ撮っている私の横で、つい1ヵ月前スペインで犬のウンコを踏んづけた我が配偶者が上記のような事を唐突に言った。
「あのね〜『伊勢エビ』は伊勢で捕れるから伊勢エビじゃないの?!そんなのが沖縄にある訳ないじゃん。あるのなら『台湾エビ』とか『琉球エビ』じゃって。」
「でも、このガイドブックに載っているよ〜。」
「じゃ、伊勢からわざわざ取り寄せたんじゃない?なんで、そんなの取り寄せている店が紹介されてるの、沖縄で〜?」
「でも、沖縄に行ったみんなに聞いたら知っていて有名みたいよ。」
「ま、いいやッ、私しゃ、エビ系は小えびとえびせんしか食べないから〜。」
那覇空港に着いて、何も予定を決めていない、つまり行き当たりばったり系無計画派の私達はタクシーには乗らず、あまり綺麗とは言えない市内バスに乗ってのんびり呑気に揺れまくりながら取り敢えずホテルへ向かった。
車窓からの風景を見てカミさんはすかさず「スペインのマラガとか台湾に似ていない?」
我が配偶者は沖縄は始めてであり、外国と言えば、台湾、香港、スペインしか知らないので、総てにおける異国情緒はこのたった3つの外国のイメージでしか対比できないのである。もっとも私だって、それに韓国とプエルト・リコ、デトロイト(のホテル)がプラスされるだけだが。
つまり、私達のイメージと云うのは、かなり主観風狭義的であり、初めて日本にやって来たコロンビア人がいきなり小笠原諸島に行って日本の印象を感じるのと同じかもしれない。礼文島でも良いが・・・。
完璧に準備する事または情報収集においては右に出る者がいないくらいのカミさんは4冊もの沖縄ガイドブックを熟読し尚且つそれらを持参して来たのだが、それを実践において十二分に活用する事は範疇外という素晴らし過ぎるくらいの秀才なのだ。最近やっと慣れたが。
「どこどこのなんとかと云うお店に行きたい〜。」と、いろいろ記憶がある限り連呼するのだが「それ、何処にあるの?どうやって行くの?」と云う問いには黙秘権の行使。
初日の沖縄の夜は盛り上がるぜ!な〜んて勝鬨を挙げても何処に行って良いのだか分からず、取り敢えずホテル前からタクシーに乗って、唯一知っている那覇の繁華街である「国際通りに行ってくれます?」と言った。
「国際通りのどの辺?」
・・・そんな質問私にしないでよ、運ちゃん。
言葉に詰まっていると、
「お客さん、観光?何が食べたいの?」
私は、人前でパンツを下げるよりも恥ずかしい質問をした。
「あのぉ・・・伊勢エビが食べたいんですが・・・・。」
「あ、伊勢エビね。○×屋(カミさんが力説していた店)が有名で良いけれど、あそこは予約しないとダメだからねぇ(カミさんは予約の事なんて言っていなかったぞ、どこ読んでんだ)。それじゃコウセツイチバがお勧めだよ。安いし活きが良いしね。」
これで「伊勢エビ」を連呼し続けているカミさんが静かになるのなら、私はもう北極でも土星だって行くぞってな感じで、国際通りの牧志と云う場所にある公設市場に向かったのだ・・・
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