グラナダの町には 雨の数ほど猫がいて 黒や白や灰色や縞の体で アーケードや雑居ビルや 教会の小堂に 洪水となって押し寄せる アラブ地区の坂道を とめどなく流れる濁流 猫はマヌエルやベンハミンや エミリオの身体に入り込み 洪水の去った夜半 落ちた影の形を確かめながら エミリオが人生について 語っている