パキータ
アンダルシアの片田舎に
古代からの岩山に囲まれた集落がある
それは火山の外輪山のようで
人々は護られ
内部の丘に洞窟を掘って家を造った
洞窟住居は夏は涼しく
冬は暖かい空気の毛布
老女パキータのドアを叩くと
五分後にドアが開く
パキータは灼熱の夏の午後に
暖かな上着を着ている
一杯の水を求めると
キッチンを指差し
医者の息子に関する問いには
一秒後に回答する
パキータは
表の猫が
五匹仔猫を生んだことを
知っているのか
柔らかなまなざしに送られて
洞窟住居を振り返ると
そこだけ夜気に包まれている