朝まだきの中 大学病院付属薬草園を 世話係りの男が歩いている 振り向きざまに 「放っておいてやることも 世話のひとつなんですよ 朝、声だけはかけますがね」 と言い コマクルガラスが飛び立った 「あなただって 放っておかれたい日も多いはず そうでしょう?」 角を曲がる時にまた振り向いて男は言い 後を歩いて道を曲がると誰もいなくて 薬草がサワサワと 目覚めたように急に話し始める