外国生活が長いので その婦人の言葉には 必ず現地の単語が入った 子音が長いような発音も
婦人は働きづくめだったが 定年退職した後すぐに 猫収容所で仔猫を買った 現地語の名の付いた猫は その名にもう慣れていて 呼べば必ず振り向いた 「桃子とか花子とか そんな名前の家族がいいのに」と 帰る故郷を持たない婦人は 珍しく正しい日本語の発音でつぶやいたが それでも忠実に 現地語で猫の名前を呼んでいる