
この度は、写真展「Time To Time」にお立ち寄りいただきましてありがとうございます。
今回の作品展は詩と写真を混じえた表現方法であり、これらは私達の作品集「Time To Time」のシリーズで、4冊目のものであります。
今回の写真展に先立つこと13年前の1983年に「Time To Time」という写真と詩とエッセイ(シーン)の本が初めて世に出ました。同じ時代を生きて行く3人が、どのように自分の時に遭遇して行ったのか、どのような時を作って行ったのかという「存在の記録」を写真や文字という媒体を通して残しておきたい、と思ったのがこの本を作った理由です。
それで、それぞれの作品の関連性は、ただ同じ時代を生きた、ということのみに留まっており、「写真のための詩」でも無く「詩のための写真」でもありません。
残念ながら、エッセイを書いていた成実誠は3冊目を出した後、「ものを書く」世界から遠去かってしまいました。それで、1年間は成実誠の喪に服して沈黙し、今回は4年目に写真と詩だけで「Time To Time」を作りました。その間、詩を書く人の草野早苗はオランダのアムステルダムに転居し、写真を撮る人の中島健は一時期スペインのアンダルシア地方に滞在していました。
時を捕まえることができるのか、時に捕まってしまうのか、異国に居て二人が感じたことです。今回の「Time To Time」は、そんな気持ちが今まで以上に濃く影を落としています。
あなたはあの時どこにいて、何をしていたのでしょうか。
そして、これからどこへ行くのですか。
1997年4月 草野早苗