【大漢和辞典 縮写版】
現在(2013)通っている佛教大学の講義の半分以上が古典で繁體文字、かつ思いっきり紀元前の頃の漢字ばかり。その幾つかの講義において「大漢和辞典とかで調べると良いよ」なんて先生が言っていた。
サラっと調べてみると、ウゲゲーの250,000万円、アマゾン中古で190,000万円。漢字5万字、語彙50万字収録とかなので、全12巻、そしてその為の索引用のが1巻加わって全13巻。
漢和辞典としては世界最大、との謳い文句で大修館書店からでている。誰が買うんっすか?
しかし、台湾のコピー版という噂のある、これの縮写版というのが安く出ているとのこと。オリジナルはB5で、この縮写版はA5。でも13巻。
ヤフオクで見たら15,000円、おおお、190,000円の1/10以下だよ。縮写版だから量は変わらず文字が小さくなっただけとか? 15,000円は安いけど置き場所がなぁ?と躊躇していたら、ページの変色がないけどビニールカバーがない、というのが8,500円が出ていて、思わずポチッ。送料込みで10,000円ちょっと。
広辞苑の一回り小さいけれど、これが13冊だから・・置き場所は後で考えるとして、取り敢えず使ってみようと索引1巻を見たら、一般的な漢和辞典と全然違う。
まず部首検索がない。「しめすへん」の「礻」は「示」になったりする。
音読みと訓読みがあるけど、これらは総て歴史的仮名遣いになっている。つまり、今は常用漢字(私が習ったのは当用漢字)だけど、明治から終戦までの漢字使用規範というやつで、「じょう」が「ぢよう」とか「がっこう」が「がつかふ」とかになるやつだ。
土嚢の「嚢」は、歴史的仮名遣いからすれば異体字で「嚢」が正しい・・なんて言ったって、拡大しなければ分からねぇ。utfエンコードのwebじゃないと文字化けしそうだ。
つーか、分からない読めない漢字の場合はどーなのよっ?
総画数索引というのがあるけど、歴史的仮名遣いが基本なので、あまり有効ではない感じがする、と思ったら、今や古典研究者ぐらいしか愛用しない、と思われる絶滅的な「四角号碼(しかくごうま)」というのあった。
漢字の四隅の形状をリスト化して4桁の数字でもって、そこから該当漢字を検索するもの。佛教大学の3人の先生が推奨していた。
その数値が違っていても総画数よりもトライ&エラーでヒットする確率は四角号碼の方が有効で、と言うよりも総画数で探すのはこの四角号碼よりも面倒に感じる。
四角号碼のルール表を見ながらやってみると、それなりに当たるようになった。不規則動詞的なものもあるが数は少なく、これに慣れると確かに部首検索よりも早い。しかし四角号碼が掲載されている辞書は希少でもある。
とは言え、一般的な三省堂の「漢辞海」と電子辞書の大修館書店「新漢語林」で殆ど、こと足りてしまうので、残すところ我が人生20年の間にこの大漢和辞典を開くのは百回は超えないと思う。が、1万円だからとってもお買い得、と思うようにしている。死んだら娘に託そうぞ・・娘も迷惑だろうなぁ。
カメラとかゴルフのクラブなどは沢山持っているイコールそれが上手い、とは限らないけど、それなりにそれはそれで市民権があるけど、こういう辞書を持っていると、どこかしら博学みたいな誤解を受ける可能性が大だ。博学なら良いけど、そうじゃないから困るんだ。 こういう場合は、webやSNS、ブログなどにへらへらと書き込むのは愚行の極まりで、一人黙って使うのが賢明じゃないかと思った。
辞書自体は40年くらい前のものなので、ペラペラとページをめくると、時間経過による劣化した紙の臭いがあり、何処かしら懐かしさも一緒に漂ってきた。
しばらく使っていると、12巻目の中からふと白いプレートが出てきて、それは部首索引表であった。
編者、諸橋氏の意向からか本編には組み込まれなかった部首索引だけど、さすがにマイナーな四角号碼と総画数索引では、利用者からの不満の声も多かったのかもしれない。出版元の大修館書店から、おまけ的に部首索引表プレートが付くようになったみたいだ。
改めてこの大漢和辞典を見たら、1巻目から順番にこの部首順に並んでいるのを知った。なーんだ。
現時点では、慣れる為に四角号碼を使っているけど、この大漢和辞典には5万の漢字が収録されている。とすると、各漢字に四角号碼を振り当てるページが必要で、5万語なのでそれなりのページ数になる。しかし部首索引なら何万語でもたったの1ページで済む。
マイナーになってしまった四角号碼の要因の一つにこれがあるのではないかと思った。
私と同じ歳ぐらいの中国語の先生が「うちの母は、その四角号碼で辞書を引いていましたよ。」と言っていたので、辛亥革命後の中華民国の時代だ。
四角号碼については、サイトで検索すればオーソリティの詳細説明があるので割愛するが、なかなかヒットしない。
「煮」の「灬」は、39または93だと思うのだが、正解は33。多少のローカルルールがあるのではないかと思うが、それが分かるまで、四角号碼で悪戦苦闘しようと思っている現在である。
2013.7
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