座 敷
ひとりぼっちで淋しい
早く帰りたい
突然舞い込んで来たメール
宛先違いかと思ったが
住所まで書いてあるので
無作為に出したかと思い
急にその地に行きたくなって
北へ向かう電車に乗った
座っている
旧家の奥座敷
おかっぱ頭で
目尻に涙を浮かべ
携帯電話を握りしめ
部屋に入れば消えてしまう
窓越しに目と目で会話する
ひとりだね 暖かくして
ひとりだね 来てくれてありがとう
こちらを見ているおかっぱ頭を背に
雪の舞う小道を駅に向かう
春になれば消えてしまう
それを帰るというのだろう
雪がくればまた現れる
ひとりぼっちで
私はもうとっくに消えている