どこからが足場で どこからが大気か 風が吹く度 霧が流れて この冬と春のさかいめ 潮気を含んだ霧の間で 黄色く光るのが 安宿の灯 霧に隠れて 海が襲いかかり 灰色のうねりに 流されて行きそうな家だが それはそれでいいかもしれない 濡れた唇を嘗めながら 間隔の分からない足取りで 灯に向かって歩いて行く