何も買わないわたしに 肉屋の女主人は呪いの言葉を投げた 蒼く沈む冬の夕時 セキズイはかすかな言葉を 確実に受けとめた 足下の気圧が下がる 体が60度回転する 振り向きざまの視線を浴びて 女主人は沈黙する灰色の牛になった 呪いの言葉でセキズイが痛い が、数年来の無表情の顔で 低気圧の街を家に帰る