鈍った金色の光が水面に落ちる 運河のところどころに浮かぶ水蓮は 光の加減でぼやけてみえる 古い石橋を渡ると それでも白い花だとわかる 修道院の門扉を開ければ あたり一面金茶の花粉で煙っていて おぼつかない輪郭の修道服が あたり一面動き回る ここも一夜の宿にはならぬと悟り だんだん白さを際立たせる水蓮を前に 運河の端に坐り もう何も考えるのが厭になって ただ光の移動を見つめているのだ