佛教大学文学部中国学科

【教養講座】

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■ シラバス

シラバス 送られてきたのは、「学習のしおり」や「履修要項」、「論文作成のしおり」、「スクーリングのしおり」、「シラバス(カリキュラムC)」など、重ねれば辞書よりも厚くなり、これを読まないとまずは何も進まないというやつだ。
 例えば、レポートの提出方法などを調べようとすると、デジタル一眼レフの取扱説明書と同じく、あちらこちらにページが飛んで説明されてあり、こちらの理解度も飛びまくることしばしばだ。
 やっと大まかにもなんとか理解できるようになった半年後に、新年度の「学習のしおり」などがまたごっそりと送られてきて、「いろいろ変更とかがありますので読んでおいてくださ〜い」。
 こんなのを毎度きちっと読むために大学へ来たんじゃない、と思ったが、幸いにも通信教育事務局へはサポセンのように気軽に電話をできるようになっていた。
 たいてい「シラバスに書いてあります」と言われるので、「索引もないし、説明がページをまたいだりと、どこに記されているのかが非常に分かりにくいデス」と返答し続け、なんとか分かるようになった。

■ スクーリング

 指定された場所へ実際に赴いて授業を受けるのが「スクーリング(SR)」。主に、春、夏、冬に行われる。学部によっては全国各地の主要都市でも行われるが、我が文学部中国学科は限りなく「京都へ来い!」だ。

講義時間 1講時 2講時 3講時 4講時 5講時 6講時
9:00〜10:10 10:20〜11:30 11:40〜12:50 13:40〜14:50 15:00〜16:10 16:20〜17:30

 合計9時間が一課目分で、これを午前だけの毎週末3日間とか、初日午後からで翌日終日の週末2日間などと開催される。よって毎週末というスクーリングの場合は毎週末京都行きになる。
 スクーリング後に原稿用紙4枚(1600文字)のリポートが義務づけられ、リポート未提出と欠席いずれかは「不可」。つまり、ちゃんと出席をしてリポートを提出すれば、たいていは単位修得となる。
 ちゃんと9時間の授業を受けてのリポートなので、スクーリングのリポートはそれほど大変ではなく、だいたい一日以内で終わってしまう内容だ。テキストの小説の感想、授業で習った項目の概要、テキスト内漢文の一部の訓読と和訳など。

5号館教室 季節ごとのスクーリングはだいたい1ヶ月間に渡って行われ、申し込むとその期間前の2週間前ぐらいにまとめてテキストなどが送られてくる。期間後半のスクーリングなら時間のゆとりがあるが、初日のスクーリングだとたったの2週間もない。
 今回2013年の夏のスクーリングは7月20日から始まり、その20日のを受講するのだけど、資料が届いたのはなんと8日で実質11日間しかない。単なる事務局都合でしかなく社会人をも対象にした通信教育システムとしては、とてもいただけないもんだ。
 スクーリングの基本は予習しかなく、予習をしないで臨むと先生によっては不可の可能性も出てくる。
 課目に語学レベルなんてないので、与えられたテキストの内容意味や単語などを自分なりに調べて覚えておかなければならない。働きながら学ぶところでは、その初日の課目の予習時間は2週間もなく、また、たいていは複数受講するので、他の予習もしなければならず、なかなか勉学も大変だ。事前テキスト配付の日程をより前倒ししてくれることを強く望む次第である。
 3年生の春のスクーリング(2013.6-7)は5つ受けたが、3つ目が終わったところでやっと少しゆとりが出た感じだった。

 授業内容は通常の大学のと同じように、テキストを数行ずつ朗読して和訳。自分の担当箇所なんて分からないので、結局全部一通り読んで訳しておく予習が必要となり、それなりに勉強させられる。
 スクーリング終了後にレポートを出さないと単位が貰えないことになっている。
 テキスト履修のような厳しい内容と量ではないのだが、スクーリング終了日から10日後が郵送必着締切なので、社会人または遠方から来る私のようなものにとっては急いでやらねばならない大変さがある。「文部科学省認可通信教育」と書かれた封筒で投函すると特別処置で100gまで15円切手なのが嬉しいけれど、ちゃんと届いたかどうかという不安は成績発表まで残る。
 レポート課題は、テキストが小説とかだとすると単に感想文だったり、事前配布テキストが授業内にて終わらないと残りを和訳して提出、古典とかだと和訳と書き下しなどいろいろ。文字数は原稿用紙4枚だが書式指定が手書きの縦書きとかになると、ちと涙もの、これだけで半日を要してしまう。ワープロ可だとプリントアプトして終わるのだけどねぇ。また、ワープロ可だと大学の専用ネットにアップロードというのも可能だが、何となく切手を貼って投函している。

     
1号館1号館5階教室1号館3階教室
 
 昔なら後ろの方に座るのだけど、老眼鏡をしないと黒板の文字とかが良く見えない年齢になってきたので前の方に座るようにしている。
 2013年春に1号館が新しくなり、初日のスクーリングはここで行ったが、2回目からは敷地内はずれにある以前同様の5号館でやるようになった。私にはとっては喫煙所が隣にあるので嬉しい。

■ テキスト履修

テキスト履修 通信教育の授業ではスクーリングが目立つが、スムーズな単位取得において、何よりも重要なのが地味で目立たない「テキスト履修」である、と後で思った。
 3年編入の文学部中国学科での必修テキスト履修は5つある。
 指定されたテキストを購入し、指定される2つの設題レポートを提出する。佛教大学出版のもあれば、通常の書店のもあるのでアマゾンの中古を買うのも可能。レポートは400字原稿用紙8枚(3200文字)×2設題。
 期限は特になく、レポートを提出した日からその履修となる。
 設題によっては指定されたテキストでは足りず記されている参考文献も購入したりしなければならないこともある。また、その指定されたテキストに記されている事柄を中心にまとめなければならず、どんなにその設題について詳しく記してもテキストに沿っていないものは「不可」になる公算が大きい。
 テキストを読んでレポートを提出できるようになるのがだいたい1ヶ月ぐらい。しかし通常の大学のように周りに同級生などがおらず日常生活の仕事をしたりする中で黙々とこれをこなしてゆく1ヶ月はかなり長く感じる。
 提出はワープロ可なのが多く、おかげで普段殆ど使わないWordが少し使いこなせるようになった。

 そしてテキスト履修は、レポートを提出した後に実施される「課目最終試験」というのを受けなければならない。


■ 課目最終試験

課目最終試験 だいたい毎月一回、全国各地の主要都市で実施される課目最終試験。
 レポート提出後の1ヶ月以降ならいつでも良いのだが、たいていはその一ヶ月後のに申し込む。でないと忘れてしまうからだ。
 東京会場は、たいていJR埼京線板橋駅から徒歩15分のところにある大正大学で行われるが、神田や両国のビジネスセンターで行われることもある。一時、続けて課目最終試験を受けていたので大正大学の方が馴染んでしまって愛着さえも出てしまったぐらいだ。

 午前と午後に分かれ、それぞれ2教科、合計一日に4教科受験することができるが、4教科同時受験は超人クラス、通常は2教科が限界だと思う。
 あらかじめ決められた6つの設題の中から1つ出題され、それについて800〜1000字のレポートを記すというもの。
課目最終試験 写真のような設題帳が配られ、全学部課目設題が記されている。「56」とか記されているので「99」まであるのかもしれないが、ランダムに出題されるので同じ設題が午前午後と続くこともあって予測不可能である。結局、6設題それぞれリポートにまとめて、それを覚えなければならない。
 4つだけ覚えてハズれたら後日再受験という強者先輩がいたけど、後日というのは最短で3ヶ月後、他の勉強もしなければならないので、ハズれた時のリスクはかなり大きいのではないかと思われるが。

 と云う過日、2教科受験をしてきた。
 1ヶ月で2課目4レポート作成は私にとってはやや能力不足で成績は、BとC。戻ってきた担当教官からの添削を読んで、なるほど〜、そうだよなぁ〜の評価であった。ただ、このテキスト履修の場合、最終評価はレポートではなく課目最終試験なので、6設題6000文字×2課目=12000文字は大変だったけど、こちらは75点と85点になっていてラッキーだった。
 大学の成績と言えば、優・良・可・不可だと思っていたが、佛教大学では、100点満点になっている。聞けば、80点〜(優)、70点〜(良)、60点〜(可)、〜59点(不可)のようだ。

■ ブロック宿泊学習会

  1. 仏教の基礎知識と仏教研究方法について
  2. 民族学の新たな潮流 - 現代を知るための民族学へ
  3. 学校図書館における特別なニーズをもつ児童生徒への支援
  4. 行政の諸相 - 過去・現在・未来
  5. 障害のある人々が問う社会のあり方
と云う、7時間ぐらいの授業があったらどれを選ぶだろうか。

ブロック宿泊学習会 各地域のそれぞれの学友会が主催する学習会というのがあり、その会の内容などによって学校公認となる場合がある。ポイントが付き、その貯めたポイントの点数によって単位に振り替えることができる、というのを聞いた。おお。
 会場がちょうど地元のさいたま新都心だったので、これ幸いと参加した(2013.10.5-6)。この学習会は1泊なので21ポイントとなり1単位と同等になる。3年編入でも、一般教養的な課目を含む「関連項目」の中から2単位以上を取らなければならなかったのでちょうど良かった。

 いつもの中国文学関連とは違う内容の授業を受けるのはちと新鮮で良いな、と思って上記のテーマを見たら、どれも門外漢的で難しそうだ。というのは、スクーリングと同様、受講後にレポートがあるからだ。レポートがなければ聞くだけなのでどれでも良いとも言える。
 それを踏まえてテーマに「基礎」とあった仏教のを選んだ。

ブロック宿泊学習会 六大煩悩とか出てきて、煩悩なら知っているよ、と思っていたら、「その6つとは、貪・瞋・癡・慢・疑・見」とか出できて、読み方も全然違う。「貪」は「とん」、「疑」は「き」などetc。「忍辱」なんぞは「にんにく」と読むようで、先生の言っていることは良く分かるのだけど、その言葉が生まれて初めて見るようなものが多い。これは仏教学部2年生が分かるような講義内容で、「仏教の基礎知識と仏教研究方法について」の「基礎」の前に「入門」とか「初級」というものがあったことに気付いたが後のカーニバル。話を聞きながらノートを取ることだけが精一杯で、いつもの難解中国古典の原典を読む授業での消費カロリーと同等だった。
 とは言え、担当の並川先生の話は飽きることなく面白く眠気はゼロだった。おかげで入門の中の入門レベル的な「インドの原始仏教 → 部派仏教(一部小乗仏教) → 中国の大乗仏教」とかいう仏教の超簡単な歴史を知ることができたこと、そして仏教用語の殆どが呉音読みだというのが分かったことが大きな収穫であった。それ以外は良く分かりません〜。

ブロック宿泊学習会 ただ、このポイントを単位に振り替える手続き、分厚い「学習のしおり」を読むのだがなんだか良く分からない。
 学校に電話して分かったのは、11月中に「ポイント振替申請書」を送れば、後日レポート用紙等が送られてくる、ということ。他の学部の先輩などに聞いたらレポートは400字詰め原稿用紙2枚、課目最終試験のとほぼ同じだ。で、レポートの題目は出席講座の内容とは一致しない場合もあるという・・何だか良く分からない。

 それでもこういう学習会では、いろいろな「同級生」と話ができるのが嬉しいと思うのが通信生ならではないかと思う。同じ学科の同級生もスクーリング以外ではなかなか会う事ができず、良くてメールぐらい。とすれば、学部や学年が違っても、同じ佛教大学で学ぶ現役は同級生になるのが通信生なのかもしれない。
 ただ何故か仏教学部生が多い。実際は6割ぐらいかもしれないが、喫煙所や懇親会で一緒にいる殆どが仏教学部だ。文学部だって、英米学科と中国学科、日本文学学科があるのだけど、こういう場所で会った事があるのは、英米学科と中国学科それぞれ1人ずつだけだ。文学部はマイナーだ。
 仏教学科の同級生からは「ナカジマさん〜、中国語が終わったら仏教学部に来ませんか〜」なんて言われてしまうが、いやいや、もう一つ別の日本語があるのではないかと思われる「日本仏教語」なんてとても無理っす〜。


 前回のは、関東甲信越支部の合同主催で、今回は北関東支部(群馬、栃木、埼玉)主催のブロック宿泊学習会。
ブロック宿泊学習会 講義は2つ、仏教学科の「インド文化と仏教」と教育学科の「発達家族心理学を拓く」、拙中国学科からすればいずれも門外漢。それでも「インド文化と仏教」の方がまだ近いかな、とそれを選ぼうと思ったら、こちらは希望者が多く、スタッフは少ない方の「発達家族心理学を拓く」に回ってください〜、とのお達しが支部長からあった。
 思いっきり憂鬱な気分で受講したら、意外や意外で結婚や出産、離婚などの統計に基づいての講義で、へぇ〜なるほど〜などなど、とても興味深かった。

ブロック宿泊学習会 会場は埼玉県大宮にある昭和テイスト漂うマロウドイン大宮
 各会場などには必ず灰皿が置いてあって私には嬉しいのだが、さすがにこのご時世、吸うわけにはゆかず、1階ロビーの公共喫煙コーナーで一服していると、後ろから「おおっ」と声をかけられる。
 仏教学部の名物教授の田中典彦先生だ。授戒会や他の学習会で良くお会いしていて多少の見知っていただいていて、かつ、こういう迫害された場所での一服しながらの会話はより親近感が増し、こういう先生の元で学びたいな、とこの時だけは仏教学部の生徒ではないことを悔やんだ。


■ 振替リポート試験

 上記、ブロック宿泊学習会後にポイント振替を申し込んだら、その振替リポート試験課題通知書が届いたのが、2013年11月25日。
『新しい中国文学史』 「レポートの題目は出席講座の内容とは一致しない場合もある」とは聞いてはいたが、他学部の先輩とかに聞くと、「普段の勉強方法を教えてください」とかで、もう簡単なもんですよ〜、と言っていた。しかし届いたそれには「70年代後半から90年代後半までの中国文学の流れを簡単にまとめてください」と記されていた。中国学科は結構マジである。
 400文字×2=800文字なので、いつものA4レポートの1枚で済むのだけど、内容からすると、とてもインターネットでちょちょっと調べて、とはいかず、仕方なく幾つか記されいてる参考資料から『新しい中国文学史』をアマゾンで買う。定価2,800円なので当然中古の780円の方をポチッ。本を一冊それなりに精読しなければならないのは変わらない。
 恐怖の6000字暗唱の課目最終試験はないのだが、通常のテキスト履修のレポート3200文字×2の1/8(800文字)で済むと思いきや、逆に文字数が少な過ぎてまとめるのに一苦労した。
 また、締切は12月20日必着。冬のスクーリングと重なっていてなかなか忙しい師走の時期になる。佛教大学、勉強させてくれるな〜(涙)。

■ 卒論(1)

 後期からの編入学なので、10月から始まる3年生として入学し、その5ヶ月後の3月末日までに最初の「論文テーマ予備調査」を提出しなければならない。これを逃すと入学半年後でいきなり留年確定になる。

 入ったばかりで履修届けやスクーリング申し込み方法、またテキスト履修の方法など全然分からぬままに通り過ぎる最初の5ヶ月で、いきなり最初の「論文テーマ予備調査」がやってくるのは、3年次編入生の大きなデメリットでもある。

 でも最初の予備調査なので単に「古典の論語について」とか「文法の存現文について」ぐらいで良く、そのジャンルに沿った仮の指導教員が決まり、その後テーマを煮詰め、3ヶ月後の6月に「論語における孔子の師弟、子路の言について」とか「存現文の存在文と日本語について」とかにして、それに沿ってお勉強する。
 そして、その3ヶ月後の最後の3年生の月である9月末日までに「研究計画書清書」と「論文題目届」を提出して、4年生になる10月に論文テーマが決まり、後はどしどし勉強して卒論草案を書き始めてね、になる。
 私の場合、3年生の1年間でガツガツと必修課目のテキスト履修やスクーリングの9割を取りまくり、4年生、2度目の冬のスクーリングを終えて、1単位のみを残す状態にしたので、卒論草案にそれなりに集中できて良かった。

 3年編入での最初の半年ぐらいで、そのスクーリングやテキスト履修の予習や試験などが目白押しの慌ただしい中で、履修科目の中で一番大変な卒論のテーマを決めるのはかなりのリスクがある。つまり分からぬままに決めてしまうということで、それは私だった。
 取り敢えず、卒論のテーマが決まれば、その草案を書いては担当教官に郵送してチェックしてもらうのだが、何にしろその最初の草案提出締切が、卒業半年前の3月末日までだ。つまり、それまでに1回でも草案を出していないと、その時点で留年だ。
 草案提出&チェック返却を繰り返し、その3月から2ヶ月後の5月末日までに「論文清書許可」を貰わなければ9月に卒業できなくなる。

 そして「論文清書許可」が出たら、6月下旬に大学から論文清書ファイルが送られてきて、そして8月下旬に口頭試問があり、その口頭試問等で論文が評価され論文合格が決まる、と「学習のしおり」に記されている。
 口頭試問で聞かれたことにちゃんと答えられないと不合格になる、ということなのだろうか?だったら、その手前で「論文清書許可」なんて出すなよ、「論文清書許可」が出たのならOKで良いじゃん、と思ったりもする。
 「論文清書許可」が出た2014年4月現在、その先がどうなるかが不明。  

■ 卒論(2)

 卒論のテーマだけど「中国学科」なので、極端に言えば、中国にからんでいれば何でもOKとなる。聞いたり調べたりしてみると、文学関連に限らず、文法や発音、または中国から伝来したモノについてなどさまざまである。
 中国文学に接する時のエントリーとしては、孔子や老子、『史記』、李白、杜甫、魯迅辺りは何となくでも目を通していたりするところで、魯迅の『狂人日記』を読んだ時には、食人は中国四千年の歴史、とのくだりがあって、ええ?
 中国人は四つ足を食べないのは机だけだ、などと聞くが、確かに人間は二本足だけ・・うーむ。関連書籍を検索してみたら、わんさかわんさかヒットして、数冊ゲットして読んでみたら少なくとも孔子の時代から始まっていて今に至っているようだ。
 興味ある事柄だけど、広範囲過ぎて何処を何を着地点にすれば良いのか分からぬままに担当教官に面接相談をしたら、全く同じことを言われた。だよね〜。
 他に、作品『石鹸』と『酒場にて』が良かったことを述べると、やや押し切られるように、それらを含む作品集『彷徨』の考察が論文テーマとなった。

魯迅全集 論文なので日本語訳じゃ意味がないので、取り敢えずも中国語で書かれたものを読むことにした。
 中国のアマゾンではいろいろ全集があって海外発送はOKと記されているのに、何故か日本からはNG、いじわるされているのかしらん?仕方がないので台湾サイトから全集をゲットする。送料込みで10,000円。

 魯迅の小説は殆ど短編なので読むのに助かったのだが、100年前の文章なので小さな辞書とかに乗っていない単語とかもあり、最初はB5、1頁読むのに数時間もかかった。幸い慣れてくると1日一編ぐらいとなった。ただ、1度だけだとやはり良く分からないので2度読み、『吶喊』と『彷徨』を読み終わるのに1ヶ月半ぐらいかかった。

■ 口頭試問

 同じく今秋卒業予定の妙齢の同級生と一緒に控室で待つ。私が先で、その30分後に彼女の番だ。二人とも卒論テーマは魯迅で、私は文学表現系で、彼女は思想系。
 仰々しい名称の「口頭試問」も終わってみれば、論文に対するアドバイスなど終始し和やかな雑談風で終わるものだ。そしてそれは普通ならばだ。

 主任教官と副教官と向かい合って座っている。
 副教官も1回だけだけど授業を受けて見知っていて、和やかな雰囲気にて、それぞれ拙論文を見ながらの問答が始まる。
 「4ページの下から7行目の『魯迅が作家を志望する動機』のところを改めて説明してくれませんかね」。
 自分が持ってきた論文を参照するが、行数が違っている・・。そんな問答が5分続いた後に「これ、草案指導で言ったのに直っていないですよ・・10ページの上から3行目の『梁啓超』のところ・・」
 ええっ、どのページにも「梁啓超」なんてない・・あれ、変だぞ・・・さっきからずっと変だけど。「すみません、先生の持っている私の論文を見せてくれますか?」

 論文の草案は、2回目で清書許可が出て、その後も推敲したのを出して最終稿ver.4を提出したと思っていたら、なんと、それは最初の草案ver.1であった。
 「あいや〜、済みませんでした。間違って最初の草案を論文清書として提出してしまいましたぁ。なんともまぁ、大変失礼致しました〜!」
 こういう時って頭が真っ白にはならず、意外と冷静で「卒業は来春かぁ・・残ったSRとテキスト履修でも取るかな・・」 などと覚悟をした。
 先生もプロなので、あくまでも出されたそのver.1についていろいろ親切に意見を述べてくれていた。その先生、授業中、私が個人的に質問したりした諸本原本の所蔵所在図書館リストなどのコピーをくれたりして、仮に大学院とかに行くとしたらこの先生の元で学びたいな、と思ったりもした。
 上がればトップの麻雀にて、ノーチェックで単騎待ちリーチをしたが、良く見たら当たり牌はドラで河には2枚捨ててあった・・みたいな感じの口頭試問で、ダメじゃん〜。

 妙齢の同級生もいろいろ突っ込まれたとか言っていたけど、私もちゃんとver.4の最終稿を提出していたら確実に今秋卒業確定であったのにな。
 彼女は16時半の新幹線で戻るというのでそれまで、京都駅地下のレストラン街にて、お疲れさん会をやる。落ち込みドン底の私にビールを1杯ゴッチしてくれた。優しいな。
京都駅レストラン 入ったところがランチ1,000円より・・のお洒落なイタ飯屋。
 こういう時、どうでも良い中国語が頭によぎる。意気消沈って「没精打彩」とかだったような・・、こんな時にスパゲッティなんぞを喰ったら「更加太没精打彩」とかになるので、ガツンとパワーのある1,500円の肉セットを頼んだ。
 京都に来て1,000円以上の食い物を頼んだのは初めてだ。いつも、なか卯とか餃子の王将の500円もしないものばかり。

 彼女と16時過ぎに別れた私は22時まで何をしようか?6時間もあるよ。
 とても三年坂や哲学の路などを歩こうという気分にはなれないので、そのままいつものtopscafeという漫喫へ。6時間パック、1,980円。フリードリンク、喫煙、無線LANでこの値段は私にとってはかなーりヒーリングでパラダイスだ。

 漫喫数千冊完備とか言っても50代半ばのおやじにとっては読める漫画は限定されている。最近の漫画タッチは慣れていないのか読みづらい。「ギャラリーフェイク」と「バガボンド」は読んだので、何をと思ったら、懐かしの「金田一少年の事件簿」全集があった。
 「オペラ座の怪人殺人事件」を読んでいる時にふと口頭試験のことを思い出した。
 先生が「ナカジマさん〜、卒業式は用事があるので出席できないので、研究室に来てもいないですから、これが最後になると思います。」
 これはどういう意味なのだろうか。
 清書許可の前の最初の草案では確実にNGだけど、ver.4までを確認したというところでOKなのだろうか。ここまで来ると、急いでいない学士なので今秋でも来春でも良く、願わくはそれなりに作ったver.4を提出したところで結果を待ちたいという開き直りの気持ちも芽生えた。

 1週間後、意味もなく何気に大学の学生専用サイトから履修一覧ページを見たら「合格」・・・な、なんと論文が通っているではないか・・・何で通ったのだろうか。それも78点だ。最後の草案を出していたら何点だったのだろうか?と思うと、今さらながらちと悔しい。
 それでも再編入からの2年間で卒業できるのだから嬉しい限りである。良かった、良かった。

■ 代理レポート

 レポート等を販売するレポートサイトとかがあり、そこからDL購入してレポート等を提出する人達が散見する、とのお知らせが大学からあった。
 他人のを転載、または思いっきり参考にし過ぎたレポートを提出するなんて、とても信じられなかったけど、お知らせに記載されていた「日本最大のレポートサイトHAPPY CAMPUS!」を見てみると、なるほど、レポートはだいたい500円〜1,000円で売られているようだ。何故か佛教大学、それも教員資格関連のレポート類が多いのが不思議だ。

 一般的な試験のような、その質問と解答が売っているのなら、それはそれで納得するところはあるが、素材をいろいろ集めて一つのオリジナルな料理を作るのがレポートなので、それを出来合いの冷凍食品にちょっと味付けしてチン〜したのは、やはりオリジナルな料理とは呼べないのと同じだろう。このサイト利用は、そのリポートの性質に拠って問われるかどうかでもあるが、やはり教育学部関連のだと思いっきりNGに感じる。学問で不正をした人間がその学問を教えることに何の抵抗もないものか、という意味。
 以下、そのサイト内の「佛教大学:グループ内書込み」ユーザー販売者からのコメント、

大学からの通知は知っていますか?
不正利用の警告が学生にお知らせとして届いているかとは思いますが、不正に利用しなければいいということだと思います。
特に通信生のほとんどは仕事と掛け持ちで学業に励まなければいけません。
情報を買い、時間を有効的に利用することは私は良いことだと思います。
だからこそ試験対策の論文を格安にて出品しています。

 「使わなくなった教科書を譲ります」と同様に考えれば、多少のモラルを問われたとしても売る方には社会通念的な問題はなく、あるとすれば買う方だ。
 しかし、少なくとも拙文学部中国学科には、これらは全くの不要であるのが残念で仕方がない〜。
 何故ならリポートの後には必ず課目最終試験があるからで、つまり自力でレポートぐらいを書けないととうてい課目最終試験には受からないからである。

 あるスクーリングにて教員資格取得コースの人と一緒になり、あるテキスト履修のレポートを理由は分からないが、もう3回も落ちたと言っていた。
 理由を先生に聞いてもはっきりした事は言わないらしい。合否が届くのは1ヶ月後ぐらいで、そこから再試験を申し込むとその翌月上旬が試験日となるので、次回4度目の試験日まで8ヶ月ぐらいはかかっていることになる。
 例えばだけど、ある課目だけがどうしても取れないが為に資格が取れず卒業もできないとなると、こういうサイトを利用するとか、ついカンニングしてしまう、というのも気持ちは分かる。が、やはり、それはダメでしょう〜。

 と、思っていたら、なんと「卒論代行サービス」なるサイトもあった。凄い世の中になったもんだ。
 1文字10円だ。文学部中国学科なら400字詰め原稿用紙40枚なので、16,000文字×10円で160,000円。
 口頭試問はどうなるのだ〜?他人の記した論文を通して勉強しても口頭試問にてそれがバレると思うけどなぁ。そして、その手前の何回かのやり取りでの草案にてもバレるでしょ。
 金で学士を取っても面白くもなんともないと思うのだけど、いろいろな価値観を持つ人がいるようだ。