墓参り_Granada
今回の渡西の目的は、何よりもエミリオの奥さんのコンチの墓参りだ。2021年4月に亡くなったコンチに合掌と同唱十念~。
しかし海外旅行で3つの墓参りをするとは、これも貴重な体験なのだろうか。
なので、あらかじめエミリオの都合を優先しようと、メールやMessengerで連絡するもなしのつぶて。
店や自宅に国際電話をしても出ない。どうなっちゃったのだろうか。飛行機の日程やホテルの予約もあったので、他のスケジュールを優先し、最終日にグラナダ泊を入れた後に、ダメモトでエミリオの携帯に国際電話をしたら、なんと当人が出た。
もうネットとかはやってはおらず、また店や自宅の固定電話も解約し、携帯電話のみだよ、と言い、5月11日の11時に店に行くことを約束して電話を切ったのが出発の2週間前。やれやれ。
その約束のためには、9時のバスに乗らなければならないのだが、ホテル・オニャーテの朝食って8時からなのだ。他は普通7時からなのにローカルチックだ。それでも10分ぐらい前から開くので速攻で朝食を済ませ、Guadix駅へ向かった。
定刻の10時にグラナダ駅に着き、33番のバスに乗ってイサベルとコロンブスの像のバス停で降りる(正式名は「Gran Vía 5 - Catedral」、のはず)。いつもより早く20分で着いた。
バスを降りて、荷物だけを置かせてもらいに予約した近くのホテルへ向かった。前回も泊まったホテル・インテグラである。その時、偶然にも私の友人が、友達がそこで働いているよ、というのでフロントへ行ったら、そこにいたのがラファという友達だった。ラファとはFacebookを介して友人になった。
次回泊まる時には安くするから連絡してねと言っていたので、今回Messengerで連絡するもエミリオ同様になしのつぶて。10日間ぐらいしてやっと返事が来たら、今Messengerはあまりやっていないとのこと(Telegramとかに改宗か)。で、安くなるよと教えてもらったのがホテルの公式サイトの予約ページ。あらかじめBooking.comで予約していたのをキャンセルして、ここから再予約をした。
たいていは、Booking.comで予約しているのだが、この手数料はだいたい7~10ユーロ(1,000円~1,500円)ぐらい。これを高いと思うか安いと思うかはそれぞれだけど、不慣れとかだと安いと感じるし、また、Booking.comではいろいろな割安セットもあるので、一概に高いとは言えず安心感がある。そのセットとは、キャンセルNGで予約すると10%割引とか、朝食付きが素泊まりと同価格になるとかなど。ただ、ホテル・インテグラは中心地のど真ん中にあるからか、こういう優待サービスはBooking.comにはなかった。
荷物を預けてホテルを出たのが10時30分。ちょうど良い時間だ。
仕方がない歳のせいだろう、「坂」と聞くと心の中で一歩引いてしまう自分がいて、その都度「よし、登るぞ」という決意表明を求められているような気がする。
2年ぶりの懐かしい坂を登ったら15分で着いてしまい、初めてシャッターの下りたエミリオの店を見た。ここまで登ってシャッターかよ、という脱力感があったが。
一服しながらエミリオに電話をしたら、あと15分以内で着くよ~、との返答があり、果たして長女のマリア・デル・マールが運転する助手席に座って、11時にやってきた。
3年振りに会うエミリオはどことなく妙に老けたかな、と思ったところに、いきなりgrave(深刻/重症)やcáncer de hígado(肝臓癌)、cáncer de colon(大腸癌)、cáncer de pulmón(肺癌)などの単語を発し、亡くなったコンチはcáncer de riñon(腎臓癌)じゃないの?と言ったら、当人のエミリオがそれらの癌にかかったとのことでびっくり。
取りあえずもコンチの墓参りをした。
小さな村と小さな町の墓参りを済ませたところでのグラナダの墓はデカくて広く、アルハンブラのヘネラリフェ別荘を彷彿させた。
場所は、エミリオの店からはそれほど遠くはなく、歩いて行ける。そのまま坂を登り、アルハンブラの駐車場を通り過ぎて道なりに登っていったところにある。ただ敷地内は広くカオス的迷図状態なので、どこにあるのかを探すのが一苦労かも。事務所で聞くと分かるのかなぁ。
戻ってからエミリオの症状を聞いた。上記の癌にかかり昨年11月から今年の2月ぐらいまでの3ヶ月間、大手術をして入院していたとのこと。
4時間かかった手術は、肺に小さな何かがあったとかで、それを放射線で除去したのかなぁ。肝臓癌と大腸癌も、カテーテルを入れてどうのこうの?それとも同じ放射線治療かなぁ。また、どの病気でも高齢者の手術だけでもリスクが大きく、術後の後遺症もあったりもするので、エミリオはこの辺をも強調していた。
いずれにしろ、聞き取るよりも医学用語がバキバキに出てきて辞書とマッチングしないのが多く、詳細までは分からなかった。
今は、一応の処置が終わり完治(寛解)とのことで、医者からはストレスのたまる仕事はやめて、リラックスするのを勧められ、そこには日々の散歩や旅行(仲間と早々にイタリアへ旅行したらしい)などが含まれている。ただ、直射日光にあたるのはなるべく避けるようにとのことなので、紫外線が良くないのだと思った。
癌の発見は、やたら痩せてきたのでおかしいと思って精密検査を受けたら、それらが見つかったとのこと。
自覚症状のある癌や同時に3つの癌の発見の場合は、かなりあぶない状況と言えるので、エミリオがトイレに行っている間に、長女のマリア・デル・マールに確認した。
医者から余命宣告はされなかったのか、本当に癌は寛解したのか、などを聞いたら、余命宣告などはなく、一応の寛解で以降観察期間があると言ったので、それ以上は聞けず、その言葉を信じるしかなかった。
腎臓癌で亡くなったエミリオの奥さんコンチを偲ぶ墓参りが、エミリオの癌でぶっ飛んででしまった感はあるが、最後にコンチと会ったのは、娘も一緒に食事をした2020年2月で、その1年後の2021年4月に亡くなったので、2020年のそれは会い納めとなり、直近で会うことができて良かった。
墓が近いと気軽に行けるのは良い。坂道が大変だけど。
現在は、長女夫婦がエミリオ宅で一緒に暮らし、店への送り迎えは息子達とかがやっているようで、家族によるエミリオの介護態勢には問題がなく安心した。
そんなわけで、午後の帰宅送迎車が来るまで、いつものバルへ行った。
昔からちょっと一杯という時にはこの「ボデガス・カスタニェーダ」に連れていってもらっていて、目抜き通りのグランビア通りとプラサヌエバ広場の中間にあるのだが、「地球の歩き方」にも載っていて有名なようだ。
今は、ちょこっとしか飲まないんだ、とグラスの1/3を示し、でも医者から止められているのでこれは内緒だ、と言いながら、ビールを2つ頼んでいた。
因に、ビールと言えば小瓶のビールを指し、生ビールは細長いタンブラーに注ぐのでカーニャと称していたが、今回行ったすべてのバルやレストランとかでは、ビールは生ビールを指し、ワイングラスに注がれて出てきた。最近のグラナダスタイルなのかな。味はカーニャと同じで美味かったけど。
結局、エミリオはビール2杯とワイン1杯を医者に内緒で飲んだ。私はビール4杯。
店に戻って、土産物を物色した。
あまり欲しいモノがないのは、カミさんと一緒に来た時などに目ぼしいモノの殆どを買ってしまったからだが、こういう時、女性は鋭く、選択に無駄がない。たいていが帰国してからも十分に有用性があるものばかりなのだが、私のような男がヘラヘラと買うと、買う時には良いと思ったのだけどなぁ、が多くなる。
また昔から欲しいなぁ、と思っていたのが、タラセア(寄せ木細工)のビューロ。若い時にエミリオが作ったモノだから個人的に価値はある。
エミリオがいる横で長女が「日本への送料込みで13500ユーロ(200万円)だよ」というので、「30年前、エミリオは5400ユーロ(80万円)と言っていたよ」と返す。
エミリオは何も言わずにやにやしていた。
今回、是非買ってゆこうと思っていたのが、タラセアを施した生ハム原木の台だ。ちゃんと専用の単語があり、ハモネーロ(jamonero)という。90ユーロ(13,000円)。
しかし、ホテルに戻って写真を見て、はじめて買うのを忘れていたことに気付いたが、後のカーニバルだった。
|