大 工
大工は七時半にやって来る
脇目もふらずに働いて
キューリとベーコンのサンドイッチと
ポットの熱いコーヒーで昼食を取り
三時半には仕事を終える
家に帰って自転車に乗ったり
船で湖に出たりするのだと言う
「夜は家族でほんの少し酒を飲んで
その後たっぷりコーヒーを飲む
寝不足かって?
いいや、悪い夢見るよりも
自分で作った椅子に座って
くつろいでいるほうが
よっぽど楽だね」
髭面の大工に
人見知りの激しい猫が
尻尾を立てて擦り寄って行く
「いつもちょっと疲れているようだね
この猫みたいに楽に生きなくちゃ」
大工は工具をたたむと帰って行った
猫と顔を見合わせた
「誰かに似てるね
大工さんだし…」
もしかしたらそうかもしれないと思いながら
今度は楽な椅子を作ってもらおうと決めた