風邪をひいた同居人の体は ベッドの上でがたがたと揺れ やがて赤味を帯びた生物となって 蒸気を発している
タオルケットの上から 覆い被さり 首に顔をうずめて 匂いを嗅ぐ
熱を帯びた同居人は 雄羊の匂い 六月の雨上がり 乾ききらずに ぬくもっている毛の匂い
首に手を回して 適当になぐさめの言葉をかけながら 私は至福の時にある 同居人の体が 硬直を始める