樫の木が揺れ ポストが揺れ 風は村を斜めにし あとはどしゃ降り 私は道のまん中にたたずんで テレビ塔の陰から現れる 龍のパレードを見ていた 透明な龍は嬉しくて笑い 空に玉を放るたびに 村は雷鳴に包まれた やがて龍の一行は尾を振って 東の空へ去って行った 村は全てが垂直に戻り 水晶の破片できらきらと輝いた 私は破片を二、三拾って 両手でそっと包んだ それは龍のように気まぐれで冷たく それは龍のように無邪気で暖かかった