ホアキンと再会
|
霊園の入り口 |
亡くなった友人ホアキンの墓地は、なんとルルデの家の近くにあった。
アルハンブラのヘネラリフェ(王の別荘地)を思わせるような白い壁と背の高い植木で囲まれた事務所もあるそれなりに大きな墓地で、中に入るといろいろなスタイルがあるのだろうカプセルホテルみたいな棟が沢山並んでいた。
墓と一緒に写真を撮ろうと思うも、亡くなって間もないので、ここに来るのは好きではない、というルルデは写真に写ることを望まず、結局無頓着的な私だけを立たせて撮ってくれた。カトリックでのこういう墓参りでは、日本のに比べ作法は少なく、花を用意して十字を切って祈るぐらい、にしか見えなかった。
行く前に花屋があったので買いに行った。
墓参り用の花束をください、と言ったら、何やら結婚式のテーブルに飾るような花飾りの写真が入ったカタログファイルを取り出してきて、どれにしますか?
籠に入った花なんて要らないだろうと日本式に思い、いろいろな価格帯の中の5ユーロ(650円)の花束を見繕ってもらった。来てみれば、なるほど、一番下に入っている人の場合は籠のもOKだと分かった。
上の方は届かないので、飛行機に乗る時の階段みたいなのをガラガラと持ってきて、搭乗よろしく登って献花した。
|
ホアキンの墓の前で |
スペースからして棺桶1つ分なので、日本のように墓は家族単位ではないのか、とルルデに聞いてみると、そういう家族ごとのもあれば、こういうのもあるそうだ。そして時間が経てば風化して骨だけしか残らないので後からの家族を入れることもできる、と言っていた。
思いの他、カトリックのこういう形式や儀式は日本の仏教とかに比べると、かなりフレキシブルであり形よりも心に重点を置いている印象を受けた。とすれば、いろいろな取り決めや儀礼の多い日本の葬式はむしろより細かくて厳しい儒教からの影響を受けているのかもしれない。
そのままルルデの家に行って昼飯をご馳走になる。
スペインの食事では一番大切なのがだいたい14時ぐらいからの昼食なのだが、たいていはサラダがあるのが何よりも嬉しい。
日本にあるような多種なるドレッシングはなく、生野菜の上にオリーブ油とビネガー、そして塩コショウしただけの実にシンプルなサラダなのだが、毎日食べても飽きない味なのがなによりも大切だと思う。マヨネーズも普通にあるのだけど、リクエストしないと出てこない。
異国の地において不慣れな食事をし続けた場合でも、このようなサラダがあれば何となる、と最近思うようになってきたのは、サラダ自体のない台湾や中国へ行って気付いたからだ。
玉子は世界的にどこでもあるから嬉しいのだが、目玉焼きは huevo frito と言うのだけど、マヌエルは、「・・・やはり huevo corto だ」と、言っていた。初めて聞いた。場所によっていろいろな呼称はあるとは思うが、このマヌエルのこだわり断言は良く分からない。
|
|
|
スペイン風ミックスサラダ |
ルルデ宅で昼食 |
ルルデファミリー |
このサラダと、多種多様なハムやソーセージ、サラミ、チーズが出て、他、肉の入ったスープやポタージュ、スープスパゲティまたは焼き肉、卵焼きとかさまざまだ。プラスして焼き鳥やフライドポテトとかもある。
フランスパンと一緒にこれらを食べれば、普通は美味しくお腹一杯になる。その後、さらにてんこ盛りの果物やでかいお菓子などが出るが、婉曲表現はスペイン人には通じないので「甘いのは嫌いだから要らない」と断言している。
いつも「食後に果物は食べなよ、健康に良いよ」と言われ、時々「コーヒーのブラックは良くないよ、少し牛乳とか入れた方が良いよ」とも言われるが、これらへのより良い適切な回避表現がいまだ見あたらず、ひたすら「ごめん、要らない(No, gracias)」を繰り返す。「宗教上の理由で・・」は、ここでは通じないだろう。が、その割りには酒と煙草に関してはあまり言われないのが不思議だ。
|