【 春陽部落 】 2009.12.29 2:11 翌朝またこの春陽部落に訪れた。
電柱に隠れたバス停と小さな点滅信号はあるが標識とかなにもない。
ただ道の両側のガードレールや斜面のコンクリートにはその部族特有の模様や絵が描かれていて、その部落に着いたことを知らせてくれる。
その信号から一直線、細い坂道がありその左右に教会や民家が佇んでいる。100mぐらい坂を登りきったところに派出所と学校があって、その坂道がこの部落住居エリアの直径を成しているようだ。人口は1000人ぐらいかな。
春陽部落のパンフレットでは「賽徳克族都達亜群(Sediq Toda)」と記されていたので、セディック族の支族トォダ族?
「タイヤール族」は統治時代の日本が命名したみたいだけど、ホテルのねーちゃんに聞いたらちゃんと「泰雅族(タイヤーズゥ)」と言っていたので、台湾の国語(中国語)ではそのままの言葉として残っているのかもしれない。
入村してみると、竹槍は弓の歓迎はなく、最初は「誰だ、よそ者?」みたいな視線を感じるも、日本人と分かるのだろうか「こんにちは」とか「日本人でしょ?」とか日本語で言ってくる。
どっかの空港じゃないけど「おまえはアラブ人か?」なんてスペイン語で聞かれるより嬉しい、アイ・アム・ジャパンーズ。
それも警戒心的ではなく笑顔でだ。もちろん顔面入れ墨だらけ、というのは皆無。
一番上の小学校へ行くと、子供たちが校庭で遊んでいる。
良く見てみると日本人に似ている。
詳細省くけど、台湾は日本統治の後、蒋介石率いる国民党がやってきて統治、つまり外省人と言われている漢民族だ。
とすれば、こいう少数民族&原住民は分類的に漢民族ではない、と大ざっぱ的にも言える。
漢民族はどちらかというと鼻が低く一重で平坦というイメージがあり、日本人は曖昧微妙な「族」だけど、アジアの中では二重とか鼻が高く目鼻立ちがあるという印象を持っていて、その日本人と似ている。日本人のルーツの一つはこの辺から?
プラプラと歩いていると学校の先生が通りかかって「ニーハォ」。
日本なら「どのようなご用事ですか?」つまり「関係ないのは出てけ」という敬語だが、ここはそんなのがない。
廊下に張出された標語とかを見ていると、中国語の下にアルファベットが記されているけどピンインではない、おそらくこの部族の言葉だろう。
その校庭から見下ろすと直径100mぐらいの部落が一望できる。
幾つかスペインのアンダルシア地方の田舎村へ行ったけど、人口500人ぐらいとかで、話は聞いていたけど初めて日本人を見た、とかいう村人ばかりで、その噂を聞きつけて村人が中央広場にやってきた、というのが私たちの新婚旅行で、どこにいても静かで落ち着いた空気が流れていた村々だった。
それと似た空気がここにあった。静かで良いなぁ。
ずっとだと干からびたミミズになってしまうけど短期なら滞在したい、と思った部落。
宿とかあるかなぁ?
「ないでしょう、こんなところには」と、はんちゃん。
と、ふと見たら目の前に「美燕坊民宿」の看板が。
「あるじゃん〜」
値段でも聞いてみようと早速行ってみた。
部屋も見せてくれて悪くない、朝食付いて1,500元(4,300円)。
すみませーん、夕食は?というと、ないのなら別料金だけど作ってあげますよ、とはんちゃんの通訳。
んなこんなしていたらあちらこちらからいろいろな村人が集まってきた。
変な日本人二人がやってきた、だけでもニュースになるのかも?
ふとホテルの受け付け&万屋風売店の奥を見たら、冷蔵庫に台湾ビールがゴソっとあるじゃん。
思わず「あ、台湾ビール、あるじゃん!!!」
横っちょのおっさんが「泊まるのなら一緒に飲もう!」
誰だ、こいつ?
宿のオヤジだそうだ・・はんちゃん通訳。
今度は若い可愛いおねーちゃんがやってきた。
誰だ、こいつ?
ホテルのオーナーの娘さんだそうだ。
今年台中の大学を卒業したらしい。でも台中市じゃなくて台中県の大学。名称失念。
私の知る限りでの台中で聞くのとは違った、綺麗な英語でいきなりCan you speak English? 聞けば彼女は大学で英米文学を専攻していたようだ。
1泊2日なら英語で通しても問題ないけど、英語圏じゃない国で英語で話してもちっとも面白くないでしょ。
No, I know only japanese and spanish, but now I study chinese, I want you to speak your home languege...aha, no,no,no, perdon, I want you to speak chinese.. 適当な英語を言ったけど通じたみたい。彼女の答えは「対」。
年配の人達は当然みたいな感じで日本語がペラペラだ。おおお。
で、その息子達、つまり私ぐらいの中年おやじやおばちゃんもそれなりに日本語を喋る。子供たちもカタコトで喋る・・、なんなんだ、この村は?
相変わらず、zhe,che,sheは、zi,ci,siに変わっている観がするけど、台中のよりも聞きやすく、また私の言うことも台中よりも通じているみたいだ。
少数民族部落内の語学学校に通おうかな!と思ったぐらいだ。
ここの人達は私に「中国語を勉強しているの?」ではなくて「国語を勉強しているの?」と聞く。
台湾の中国語は、普通語でも中国語でもなく国語なんだね。
何にしろ台湾ビールがあちらこちらにあるのが嬉しい部落である。
年が明けると、滞在の後半残り1ヶ月、可能なら2回行ってみたいところだ。
春陽部落は確かに少数民族の部落だけど、大陸中国とかにあるような、めったに入れない場所ではないし、とんでもない僻地にある訳でもなく、衣装や風習も特別ではなく、誰でもが普通に行けるところ。
つまりその辺の歴史的背景を照らし合わせても、あまりルポルタージュ風に写真が撮れる場所ではない。写真を撮ってみれば東京の奥多摩周辺の小学校辺りのスナップになる。
写真は、はんちゃんが撮ってくれたもの。
こうやって見てみると、フケたなぁ私も〜。
右端の写真、なんか一丁前に中国語を喋っているじゃん。写真はいいね、上手そうに喋っているように見えるから。
帽子は、その部族のおばちゃんにもらったもの・・・どっから見てもアメリカのインディアンみたいな模様のだ。
台北の中正国際空港までは良いけど、成田にてこの帽子をかぶる勇気はあるかなぁ・・微妙。
因に同じ帽子が日月譚の土産屋でも売っていた、200元(570円)。
高価な帽子をお土産にありがとさん、おばちゃん。でも、ちょっと日本でかぶるのは勇気が要るかも。