スペインにとりつかれてから10年目。
今回の旅程は、ラマンチャとアンダルシア。マドリ → トレド → コンスエグラ → カンポ・デ・クリプターナ → エル・トボソ → アルマグロ → ハエン → コルドバ → グラナダ(シェラネバダ)、走行距離にして約1500キロ。
スペイン行きは通算にして6回目だが、車で回るのが一番効率よく、しかも人数が揃えば交通費も安上がりでだということを痛感した。運転に自信がある方には、是非自動車旅行をお薦めする。但し、交通事故には気を付けないと。スペイン人は運転が荒い上に、飲酒運転も当たり前。一般道路も高速道路も同じように100キロ以上のスピードで走っている。一般道路の制限速度は100キロ、高速道路は120キロとなっているが、守る人はいない。高速道路には無料のAutovi'aと有料のAutopistaがあるが、前者が多い。
今回10日間ほど奮発してフォードアのルノー(何とラジオ、エアコンつき!それにパワーウインドー!)を借りた。家族3人、任意保険にもすべて加入して65000ペセタほど(約52000円)。走行距離は無制限なので、後はガソリン代だけ。ガソリンは一番いいやつで105〜109ペセタ(80〜90円)。
スペインの冬は思っている程寒くはない。気温は低いのだが、大陸からの冷たい北風がないので、宮崎なんかよりも暖かく感じられる。夏に較べて疲れないのがいい。
宮崎からスペインへ安く、しかも効率よく行く方法は名古屋経由で英国航空を使うことだ。イベリア航空は成田からマドリまで直行だが、成田もしくは福岡で前泊しなければならないので、余計な宿泊費がかさむ。羽田から成田までのバス代も高い。ところが、名古屋だと、午前中宮崎を発てば、1時間程で到着。昼の便(大体1時半)に十分に間に合う。しかも、国際空港は隣にあるので移動も簡単である。
シベリア上空を飛び、ロンドンまでの飛行時間は12時間。ロンドンで2時間待って、マドリ行きの便に乗れば、同じ日の午後10時過ぎにマドリに到着する。但し、ヒースロー空港では、各ターミナル間をバスで移動し、ターミナル内においてはかなり歩かなければならない。
航空運賃だが、宮崎発着にして国際線の運賃を組んでもらえば(英国航空は全日空と提携している)、名古屋往復が非常に安くなる(半額以下)。また、出発日を12月20日前後にすれば、宮崎・マドリ間が往復13万円〜15万円でいける。
トレド
トレドでは、パソコン通信で知り合ったバリャドリッド在住の人見さんとトレドのパラドール(城や修道院、貴族の豪邸を改装した高級国民宿舎)で再開した。ちなみに宿泊料金は対岸の町が見える部屋はツインで17000ペセタ(4つ星で13600円)。
10年ぶりのトレドだったが、少しも変わっていない。バルでチョリソとチーズをつまみにビールやワインを飲みながらスペイン談義。
パラドールのバイキング式の朝食は非常に豪勢だった。ハモン、チョリソ、チーズ、チュロ、フルーツ、ジュース、サラダ等がズラリと並んで、1人1200ペセタ(約1000円)。日本のモーニング定食の料金を考えると非常に安い。
小高い丘に風車があるコンスエグラ
コンスエグラまでの道は分かりやすい。トレドから一直線(1時間くらい)。サフランの町として有名だが、最近ではクリプターナよりも人気があるようだ。この周辺一帯がラ・マンチャ地方なり。
村はひっそりしている。丘に佇む城跡(現在、再現中)の横に風車が9基並んでいる。はるか地平線まで遠望でき、眺めは非常によい。道路添いに2基あるが、1基は観光案内所、もう1基は土産売り場。この丘に座って飲むビールの味は格別。トイレは観光案内所にある。バルよりきれなトイレで、風車の中でのトイレもなかなかのもの。周辺の丘には風車がぽつぽつと見られる。
カンポ・デ・クリプターナ
最初は小さな村かなと思ったらちょっとした町だった。クエンカ行きのN-420線沿いにある。皆きれい好きなのか玄関前の通りを掃除する人が多かった。犬や猫がのんびりと寝そべっている光景が多く見られる。
ここに到着したのが夕方だったので宿を取った。オスタルが2軒(サンチョとサンタアナ)あったが、年中開いているのはサンチョだけ(オスタルの1つ星/教会前にある)。トリプルで4050ペセタ(3240円)、トイレ/バス共同(清潔ではない/部屋も暗い)。隣町のアルカサル・デ・サン・ファンに宿泊した方がベター。近くで食事出来る場所はレストラン「ペペ」。夜は非行少年が町を徘徊しあまりいい雰囲気ではなかった。明け方は冷え込み窓ガラスが凍りついていた。
風車についてはシーズンオフのせいか観光案内所と土産物売り場しか中を見せてくれなかった。おじさんの商売根性のたくましさには驚いた。
エル・トボソ
クエンカ方向へクリプターナ(シウダドレラアル県)の町を出た左手にエル・トボソ(トレド県)の方向を示す標識がある。エル・トボソまで一直線(15キロ)。
クリスマス休暇でドン・キホーテ図書館は休み。ドゥルシネアの家(この地方の地主の屋敷)は当時の生活の様子がよく分かり面白かった(大型建築物や歴史の重みに息苦しくなった方には一見の価値あり)。ブドウの手動式大型圧搾機、家具、農機具、オリーブ絞り機、それに鳩小屋(食用にしたとのこと)などがある。係員が丁寧に説明しながら案内してくれる(もちろんスペイン語)。カメラ持ち込み禁止。1人200ペセタ。
この前に村唯一の土産物屋がある。非常に感じがよい。押し売りは一切せず、クラシック音楽が流れ、見ているだけでも楽しい、素敵な民芸品や革製品、食器などが並べられている。革製品は値段的に他のところに比べると非常に安い。縫製のしっかりした高品質の革バッグが4500(3600円)ペセタくらいからある。田舎町に結構しゃれた土産物が多いようだ。
近くでたまたま市が開かれていたが、野菜、果物、木の実、靴や衣類といった日用雑貨がたくさん並べられており、眺めるだけでも楽しい。ここで1泊すればよかったかなと思う。いい村だ。
アルマグロ(シウダドレアル県)
エルトボソから南西130キロ、車で1時間半。ラ・マンチャの古都である。アルマグロから23キロ南のカルサダ・デ・カラトゥラーバ(Calzada de Calatrava)付近の険しい岩山の頂上にカラトゥラーバ城がある。4つの騎士団が、遠くはグラナダやカディスまで遠征し、スペイン全土を支配したイスラム教徒と戦った(これをレコンキスタという)。城までは、悪路でガードレールがないので運転には十分注意を要する。
城(修復中だが、途中で工事を止めてしまったいるようだ)はかなり大きく、礼拝堂、パティオ、塔などがある。管理人がここで生活をしている。夜はさぞかし不気味であろう。
アルマグロは上品な町だ。マイヨール広場を囲む建物は、木造のバルコンとそれを支える支柱によって構成されている。赤い瓦と統一された緑色の窓枠は、幻想的だ。野外劇場(日本でいう寄席)もある。
ここに立ち寄った大きな理由は、修道院を改装したパラドールに宿泊するためである。15世紀に建てられた修道院を15年前に改装してホテルに変えたとのこと。美しいパティオがあちこちにあり、夜になるとライトアップされて幻想的だ。ボデガ(ワイン酒蔵庫)を改造したバルでバルデペーニャス産(アルマグロから36キロ離れた町で作られるワイン)のワインを飲む。これ最高の気分なり。ホテルの部屋の壁に壇らしきものが据えられていたが、開けてみると冷蔵庫だった。宿泊料金はツインで11000ペセタ(4つ星で8800円)。2泊してしまった。
娘は地元の子供達と友達になり、2日間とも夜遅くまで遊んだ。きっかけはバルでカップうどんを箸で食べていた娘に、子供達が好奇の目を注いだことからである。人が素朴で治安が非常にいい田舎めぐりをお勧めする。 |