グラナダ
コルドバからグラナダまでの一般道路では、ほとんど車を見かけなかった。山越えである。途中、寒村でガソリン(1リットル110ペセタ、90円ほど)を入れたが、ここに立ち寄るが日本人が珍しくて店の親父がいろいろと話しかけてくる。名刺を交換する。
グラナダ訪問は今回で4度目。最近会員となったエミリオさんとは1992年の冬期休暇の旅行で知り合った。アルハンブラ宮殿を見学後、ゴメレス坂の彼の店に立ち寄り、彼の精巧な作品に見惚れてしまったことからつきあいが始まった。親子で近くのバルに誘われ、翌日はグラナダ料理のレストランへ招待を受けた。その時、彼の友人の日本人画家も同席した。通りすがりの貧乏旅行者にこうも親切にされるとは。翌年、訪れた時は、自宅の庭で盛大なパエリャ歓迎フィエスタを開いてくれた。友人の料理人であるマノロさん(レストラン経営兼料理人)が、薪を火種してうさぎの肉を使用した本場のパエリャを作ってくれた。最終日は奥さんの手料理なるグラナダ料理をごちそうしてくれた。非常にあっさりした料理だった。
今回、エミリオさんはわれわれのために4つ星ホテルの割安クーポン劵を事前に購入し、ホテルを予約してくれた。このクーポン劵を使用した場合、トリプルで宿泊料金は5000円。日本人団体旅行客ツアーがよく利用する最高クラスのホテル(ホテル「Saray」)。
毎晩夕食のごちそうになった。エミリオさんの自宅付近(自宅は近郊の村、車で20分)にある地元レストランでは美味しいウサギ料理に舌鼓を打った。料理が美味しいので、毎回丸々太って帰国する。
シェラネバダ山脈で開催される世界スキー選手権を控え、アルハンブラ宮殿へ直行する高速道路がもうすぐ完成するそうだ。ゴメレス坂は車両通行禁止となり、アルハンブラ宮殿まで観光客をケーブル電車が運ぶことになっている。
今年から、パリ・ダカールラリーが、グラナダ・ダカールラリーに変わり、元旦の早朝の出発光景を見物した。大晦日のウバパーティ(翌年の幸せを願って、12時の鐘の合わせてブドウを12粒食べる)帰りのイブニングドレス姿の若者カップルが目立つ。日本車の多いこと
続く
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前回の会報を読んだエミリオさんが、スペイン人は飲酒運転が当たり前と書かれた文章(姫野記)に対して、それは誤解だという反論をスペインから寄越しました。要するに酒気帯びは飲酒運転に入らないのでしょうね。飲酒運転とは日本でいう泥酔運転のことを示すようです。ワインは食事の一部であり、われわれの文化であり、アルコールではない云々。以下、一部を抜粋します。
貴殿のファックスに書かれているように、バモスの目的は日本とスペイン、ラテンアメリカ諸国とのより良き理解を深めることではないでしょうか。そこで、「スペイン人全員が飲酒運転を行っている」というくだりについて少し説明させて下さい。ご存じのように、ワインはわれわれの文化の一部であり、グラナダの人の場合、そのことを全く心得ています。フェデリコ・ガルシア・ロルカ、アンドレス・セゴビア、アンヘレス・オルティスのような偉大な文化人は、グラナダの「エル・リンコンシリョ」というバルに毎日午後になると集まり、ワインを片手に情報を交換し合っていました。
日本人は毎日酒を飲む習慣はあまりないので、スペイン人の飲酒運転に対して非常な懸念を抱いているということは理解していますが、敢えて言わせて頂くと、運転する場合、日本人が飲むワインやビールの量の2倍をスペイン人が飲んでも平気なのです。もちろん、アルコール運転をしている人もいますが、だんだん減ってきているので、スペイン人全体がこうした運転をしているのだと一般化してはなりません。リンゴ一箱を買って、中の1つが腐っていたらそれだけが目立ってしまうのです。スペイン人が皆酔っ払い運転をするならば、墓地は一杯に埋め尽くされるでしょう。